山桃パーティー

 園庭へと駆けていく子どもたち。色水遊びのコーナーで遊ぶ子もいれば、ゴミ収集車に気づき、見学に行く子もいる。兄弟で遊んだり、水鉄砲をしたりと、それぞれ思い思いの遊びへと走っていく。慣れ親しんだ園庭では保育者が近くにいなくとも、安心感を土台に、どこへでも一人で行けるのだ。

 山桃の木の下には沢山の実が落ちていて、ハールちゃんが両手いっぱいに拾っていた。「すごいでしょ、いっぱいだよ」と拾い集めた喜びを伝える。「うわー、いっぱい拾ったね」と保育者が応えていると、恋羽ちゃんがやってきて、山桃を手に取り「中に何か入ってる」と呟きながら、山桃の実を潰し始めた。

 「なんか硬いのある」と手元を覗き込みながら、さらに潰していく。果汁がポタポタと地面に落ちていき、ハールちゃんが「ジュースが出てきたよ」と保育者に伝えながら、自身も同じように潰し始めた。

 中に種がある事に気づくかな、などと考えながら見ていると、二人の興味はジュースが落ちた地面の方へと移っていたようで、「いっぱい実が落ちてるね」「なんでだろ」と話し合っている。

 保育者も「どこからきたのかな」と会話に参加。すると上を向き、たっぷりと実が生っている山桃の木を指差して「これだよ」と教えてくれる。この木から落ちたことは、もうわかっているのだが、どうして落ちてきたのかを話し合っていたのだ。

 すると、ザワザワという葉音とともに強風が通り過ぎた。二人は周囲の景色を見回すように園庭の木々をしばらく黙って眺めていた。ゆさゆさと枝を揺らしながら音を立てる木々。

 上を向くと山桃の木も大きく揺れている。「風のせいじゃない?」「風が落としたんだよ」とまた会話が始まった。どうやら結論は出たようで、気持ちはすぐに別のことへと移っていく。

 「先生、ビニールちょうだい」どうやら山桃を持って帰るためにビニール袋が欲しいようだ。山桃の中の種のことはもうどうでもよくなってしまったようで、遊びはもう先へと進んでいる。保育者がそれを蒸し返しても仕方ない、子どもたちの遊びの流れに乗っていこうと考え、ビニール袋を取りに行った。

 袋を持って戻ってくると、山桃が見当たらない。「ビニール袋持ってきたよ」という保育者に、「いらないよ」「この中だよ」と砂場の鍋の中を指さす。

 絢士くんがスープを作っていた鍋の中に、山桃がたっぷりと入っていた。ぐるぐるとかき混ぜると山桃が顔をのぞかせる。「山桃スープを作っているのね」と保育者がビニール袋をひっこめながら聞いていると、一緒に料理しようとはなぐみの子どもたちが集まってきた。

 出来上がったスープを分け合い、料理人になったり、お客様になったりしながら遊んでいた。水鉄砲を持ったちびっこギャングもやってきて、水をかけられて泣いてしまったり、スープの取り合いをしたり。そこでは、はなぐみの山桃パーティーが賑やかに繰り広げられていた。

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