まだまだ使える

 今日は曇り空。プールに入るには少し肌寒いかな…と思いつつ、園庭の子どもたちは、湿度もあってか汗びっしょり。過ごし方によって、体感もそれぞれな様子だ。

 プールに入ろうかと迷っていると、「えー、入りたい!」「今日は寒いから入りたくない。」など、反応も様々。そこで、水遊びの選択肢を用意してみた。アトリエ前にビニールプールを出し、入りたい人は着替える。入らない人は、園庭や保育室、テラスなどでそれぞれの遊びを楽しむ。

 すると、ビニールプールに入る、園庭で虫を探す、野球をする、テラスでごっこ遊びをする、保育室で潜水艦で遊ぶetc…。それぞれが自分なりの過ごし方を見つけ、自分なりのペースで充実した時間を過ごすことができていることを実感した。

 保育室では、潜水艦や海の周りがにぎやかだった。潜水艦に乗り込み、交代で船長になって航海をしたり、潜望鏡を覗き込んで海の生物を探したり、潜水艦の中でくつろいでいたり…。その横に製作環境を設定しておくと、図鑑を見ながら、「この魚を作りたい!」と、造形活動にも意欲を見せていた。
 海の世界はいまだに広がり続けている。細かいところにもこだわり始めていて、「カクレクマノミはワカメの後ろに隠れていた方がいいよ。」と、海藻を少し剥がしてその後ろに貼る姿に、周囲の子も「なるほど。」と納得。
 海の前に立ち、海の生物にじっくりと見入る姿も増えてきた。「これは何?」「これは誰が作ったの?」「僕も作りたくなっちゃった。」と刺激を受けている。

 製作をしたいという子がみるみるうちに増え、「先生、画用紙ちょうだい!」と声がかかった。しかし、見ると、テーブルの上には、一部分だけが使われ、余白が多く残っている画用紙がたくさんある。ここで、ふと考えた。最近、製作コーナーでも、一部のみ使った画用紙や折り紙が放置され、新しいものを使う傾向がある。そこで、今日は、その残った画用紙を使うことを提案してみた。
 保育者「まだ使える画用紙がたくさんあると思うんだ。」
 子どもたち「えー、新しいのがいいよ。」
 保育者「先生はもったいないと思う。あ、ここを使って貝を作ろうっと。」

 初めのうちは渋っていた子もいたが、保育者が余った画用紙で製作を始めると、少しずつ、同じように製作をする子が増え、その輪はみるみる広がっていった。「ここに黒が残っているよ。」「白が余っていたらちょうだい。」と、声を掛け合い、製作を進める子も出てきた。

 保育者がモデルになったり、一緒に考えてみたりと、そのきっかけを作っていくだけで、子どもたちもそれに刺激を受けて、自分なりに考えて行動に移していく。これも、保育者という一つの環境を通して、新しい価値観や考え方に出会っていくことなのかもしれない。