同じ思いで

 園庭に出ると、芙優ちゃんの後を追う景護くんの姿が目に入った。二人はすべり台を登っていく。
 「一緒にあーそーぼ!」
 「いいよ!これから(私は)助けるの!」
 と、会話が聞こえる。芙優ちゃんの手には縄跳びのロープが。

 普段なら「高い所でロープは気をつけて…」と声を掛けておく場面だが、今日は人数も少ない土曜日なので、注意深く見守っておくことだけにした。

 それにしても、側からは何を助けようとしているのかはわからない。きっと、本人には何かが見えているのだろうが、現実と想像の世界を行き来する子どもたちの遊びは、実に面白い。

 すべり台に登頂すると、景護くんの持つシャベルが目に入ったようで、すかさず、「それを助けるから、それを(すべり台下に)投げて!」と声を掛けている。急にそんなことを言われた景護くんは、思わず黙って考え込んでしまう。「これは僕のなんだけど」という声が聞こえてきそうだ。
 それでも、いつも面白い遊びを繰り出す芙優ちゃんとの遊びを選んだ景護くんは、意を決して手にしたシャベルを、すべり台下へと転がした。

 縄跳びの長さよりも遥かに長い滑り台。芙優ちゃんはどうやってシャベルを助けるのだろうと思っていると、「景護くん、下に行って!」と指示が飛んだ。指示通りにズリズリと斜面を下る景護くん。シャベルに到着するまで「もう少し下に行って!」と上から指示が続く。
 ついに地上のシャベルに到着した景護くんの手元に縄跳びの縄が届くように、芙優ちゃんもズリズリと滑り台を下る。そして「助けるから結んでね。」という最後の指示で、景護くんが縄とシャベルを繋ぐ。

 保育者には「結局シャベルを助けたのは、景護くんの方では?」という思いも湧いたが、どちらも嬉しそうにまた登頂すると、シャベルの救助を繰り返す。
 二人は、同じごっこ遊びのイメージの世界を楽しんでいた。

 玄関では、とりさんの二人が今日もトカゲを捕まえていた。一旦は捕まえたトカゲをあえて逃して、自由に動く姿をじっくりと観察していた。

 逃した獲物には手は出さない。ここにも二人だけの暗黙のルールがあるようだった。

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