五感を通して

 今日は造形活動の日。「あっ、こいっちゃんだ!」と子どもたちも集まってきた。こいち先生が来ると、何か面白いことが始まると子どもたちもわかっている。

 すると、こいち先生が持っているある道具に気がついた。

 子ども「こいっちゃん、それ何?」

 こいち先生「今日は、これを使おうと思ってるんだけど、まずは掃除からだな。」

 興味津々の子どもたち、「こっちがまだ汚い。」「これって木かな?」「もしかして今日は、木を使って遊ぶんじゃない?」と会話しながら丁寧に掃除をしていた。道具を準備や後片付けなどは、大人がやってしまった方が手っ取り早いなどと、つい考えてしまいがちだが、その中で、活動への意欲や期待感の高まったり、気づきがあったり…実は大切な時間なのだと改めて感じた。

 掃除が終わると、板を持ったこいち先生が登場。

 こいち先生「これは、電動ノコギリって言うんだよ。まず、こいっちゃんがやって見せるから、みんな見ててね。」

 こいち先生が電動ノコギリで板を切って見せると、「おー!!」「すごい!切れた!」初めて見る道具に、子どもたちも少し興奮気味だ。

 こいち先生「今、ここの部分で板を切ったんだ。と言うことは、みんながここを触ると?どうなる?」

 こども「切れちゃう!」

 こいち先生「そうだね。だから絶対に触っちゃいけないよ。こいっちゃんの話をよく聞いて、約束を守ったら、すごく便利な道具なんだよ。」

 まずは、みんなで板を真っ直ぐに切った。

 こいち先生「そうそう、上手上手。右と左と力が同じくらいになるようにね。」

 切っていくと、板を通して振動が手に伝わってくる。「わー、すごい!ビリビリしてる!手が痺れる!」すると、フワッと木の香りがしてくる。「あっ木の匂いがする!」木くずが山になっていく。「あっ、触るとサラサラしてる!」「絵も描けるよ。」

 五感を通して、たくさんのことを感じていた。

 切った板に、それぞれ思い思いに絵の具やクレヨンで絵を描く。そして最初は、真っ直ぐに切るだけだったのが、クネクネに切ったり、丸やハートの形に切り抜いたりした。

 「これ、最初から最後まで私が切ったんだよ!」と、自信に満ちた表情で報告に来たり、「先生、名前描いて。これ、私が切ってね、その後に綺麗に色を塗ったんだ。可愛いでしょ?」と、自分の作品を大切そうに両手で持っていたり。板を切る工程をもし大人がやっていたら、子どもたちのこの様子を見ることはできなかっただろう。

 「今日は、電動ノコギリの使えるようになったのが嬉しかったなー。」「また今度も、こいっちゃんとできるといいな。」新たな道具との出会いが、今まで知らなかった「面白い」に、子どもたちを繋げてくれた。

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