出会いのタイミング

 先日解体されたプールを、また組み立てたくなるほど、今日は暑くなった。
 用意していた2枚の大きな模造紙を、日陰になっているテラスに用意。1枚は机の上に。もう1枚は、ビニールシートを敷いた床の上に。
 保育者には、確かめたいことがあった。

 この2枚の模造紙と模造紙の間に、先日シャボン玉遊びで使ったうちわ(8/29)とタライを置いた。このレイアウトにも実は意味がある。

 女の子たちがタライに絵の具を注ぐと、思った通り、そのすぐ脇にあるうちわを手に取り、絵の具遊びがスタート。

 すると、絵の具からの距離がどちらも同じであるのに、ほとんどの子が向かったのは床の上に置いた模造紙だった。
 保育者は、このことを確かめてみたかったのだが、思いがけず足裏でスタンプを始める子も多く、みるみるうちにその紙だけが大賑わいとなっていった。

 そしてこれは、道具を使って描画する子も同じで、なぜか最初は床に置いた模造紙の方へ向かっていく。

 床面の方が、画面の広がりを感じるのか、どこからでもアクセスしやすいのがいいのか、それこそ、手や足を使って表現出来そうだと意欲を掻き立てられるのか…。

 とにかく、子どもたちは、全身で造形を楽しむ天才アーティストだ。

 遊びが深まっていくと、用意した2色の絵の具も少しずつ混ざり合っていく。するとほんの少しだけ、赤色が混ざった黄色のタライを、子どもたちは「オレンジ」と呼んだ。この微妙な色味の変化も、よく捉えて言葉にしている。

 ある子は、どこからともなく刷毛を見つけてきて、力強いダイナミックな描画へと変化させていった。自分の行為が色や形になって立ち現れる面白さが、その子の原動力になっている。

 そうした遊びを、傍で見守っていた子も、賑わいが一定程度落ち着いてきた頃に「やってみる!」と声を掛けてきた。少し静かな落ち着いた雰囲気の中で、ひっそりと取り組みたい、という思いの子もいる。

 いつ参加しても、いつ辞めても、いつ戻って来ても良い、強制されない環境が、子どもの自発性を引き出していく。

 何かに参加するということは、新たな価値観との出会いだ。そのタイミングは、出来るだけ子どもたちに委ねたい。しかしその一方で、ためらい、迷う姿をどのように後押しすべきなのかという事にも、日々思いを巡らす保育者。
 「なんだろう?」や「やってみたい」を引き出す環境を用意することが、大人ができる子どもたちへのプレゼントだ。

 先日の散歩先で、季節の移ろいを感じたが(9/8)、今度は今日の模造紙の作品を使って、室内でも季節感を味わっていきたいと考えている。

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