とりリーダー

 パンダ公園に散歩に行くとき、柚希ちゃんに声を掛けられた。

 「コニ(小西)。『もう持ってこなくていいよ』って、とりリーダーの言い方(として)どうかな。」

 最初は何について話をしているのか分からなかったが、何回か聞いていくうちに、やっと理解できた。

 今日の朝の会で、とりに椅子を運んでもらった。各々が運んでいくうちに、しろぐみの人数を超えた椅子が集まってしまったことに柚希ちゃんが気付き、「もう持って来なくていいよ。」とみんなに声を掛けたのだ。

 「もしかして、朝の会の椅子のことか。とりリーダーって?」

 「とりさんのリーダー!!柚希ってとりリーダーじゃん?」

 誰から任命されているわけではないが、自分の役割を勝手に作って、それがまた妙に適任なので、失礼ながら思わず笑ってしまった。

 しかし、柚希ちゃんは真剣。これは私もきちんとした返事をしなければと、

 「そうだね。とりのリーダーっぽいね。柚希ちゃんが聞きたいのは、椅子を並べていたときの、『もう持って来なくていいよ』の言い方のこと?」

 「そうそう。どうだった?」

 「少し怖かったかもしれない。」

 「やっぱりそうか。」

 「リーダーってのはね、みんなを『さあ、頑張ろう!』って引っ張っていく強さと、『大丈夫?』って言う優しさ両方を持っていることが大切らしいよ。」

 それを聞くと、柚希ちゃんは何も言わず去っていった。

 これで話は終わりかと思っていたが、公園からの帰り道、歩きが遅い子に声をかける柚希ちゃんの姿を見かけた。

 「ちょっと遅いよ。…あ!大丈夫?」

 生まれながらのリーダーなどいない(たぶん)。自分はこうなりたいという思いを持ち、それを努力し続けられる人がリーダーと呼ばれるのだろう。柚希ちゃんの姿を見て、自分も後輩たちに「大丈夫?」と声をかけようと思う保育者だった。