出会い
造形活動があったので、興味のきっかけになればと「あおくんときいろちゃん」という絵本を読んだ。
子ども「きいろちゃんとあおちゃんで、みどりちゃんができちゃったね。」
子ども「そうだよ、黄色と青を混ぜると緑になるんだよ。」
そんな会話を聞いた、こいち先生がササッとハサミで何かを切り、子どもの前へ。
こいち先生「ほら、先生が今日持ってきた紙で、あおちゃんときいろちゃんを作ってみたよ。こうやって重ねてみると…。」



子ども「あ!本当にみどりちゃんができた!」
あおくんたちが、絵本からピョンと飛び出して、目の前に現れたよう!
子ども「こいっちゃん、すげー!」
実際に見て、感じることの大切さを実感した。
こいち先生があおくんときいろちゃんを作った紙は、折り紙のように見えて折り紙にあらず。「トランスパレントペーパー」という、光にかざすと透けて見える不思議な紙で、触った感触は紙風船のようだ。
今日は、このトランスパレントペーパーを使った製作と、絵の具を使った描画の二つのコーナーを設け、子どもが自由に選択できるようにした。



トランスパレントペーパーに興味を持った子どもたちは、一斉にこいち先生の元へ。
こいち先生「この紙を好きなように切って、この白い紙に貼ってごらん。」
子ども「どうやって切ればいいの?」
こいち先生「自分の好きなように切っていいんだよ。間違いなんてないからね。切ったら、紙を重ねてごらん。」
そう促され、紙を切って重ね出す子どもたち。
子ども「わー綺麗!!」
その美しさと面白さにどんどん引き込まれ、夢中で作る子どもたちに、こいち先生はさらに、
こいち先生「こいっちゃんが新しい技を教えてあげよう。こうやって折って、こうやって切ると…。」
子ども「星の形だー!こいっちゃんすげー!」
こいち先生「これは紋切りといって、昔から日本にある切り方なんだよ。」
すると、清水誠くんがたくさんの色のトランスパレントペーパーを切り、「その紙にこれを貼ってもいい?すごく綺麗だから。」と、相談にきた。「この白い紙には、ペラッとした紙しか貼れないだよな。」誠くんの切った紙は、少しクシャと立体的だったのだ。「でも、確かにこれは綺麗だよな。飾りたいよな。」と少し考えて、瓶を片手に戻ってきたこいち先生。
こいち先生「ここにその紙を入れたら、どうかなー、きっと綺麗だぞー。」
誠「本当だ!綺麗!こいっちゃん、すげー!」
トランスパレントペーパーの美しさを知り、紋切りの面白さを知った子どもたち。「また、この紙持ってきてね。」「今度は、星以外の切り方も教えてね。」と、夢中で話していた。
新しいものとの出会いが、子どもたちの更なる意欲に繋がったり、子どもたちの世界を広げていくきっかけになっていく。そして、自分の表現したいことにサッと手を貸してくれたり、新たな面白さをさりげなく教えてくれるこいち先生を、「すごい!」と言って見つめる子どもたちの姿に、大人の関わりの重要性を心から感じた保育者であった。
子どもたちが、トランスパレントペーパーを貼った白い紙は、こいち先生が手を加えて、素敵なものに変身した。お時間がある時に、ぜひ、製作コーナーを覗いてみて欲しい。