イメージして遊ぶ

 雨に加えて風も吹き、嵐のような朝。室内では、それぞれが好きな遊びに向かっていた。

 絵本コーナーの大きなクッションに腰を下ろして寛ぎ、両手で持ったブロックを見つめている子が何をしているのかと観察していると、指先を細かく動かしている。そこで、ピンときた!ゲームをしているに違いない。「ようちゃん、何しているの?」と聞いてみると、「マリオカート!」。

 やっぱり!手にしているブロックは、コントローラーのつもりだったのだ。その後もしばらくゲームに夢中になっていた。本当にゲームをしているかのようで、家庭での姿が見えたような気がした。

 なんとも微笑ましいその姿に、クスッと笑いながら見守っていると、すぐ近くで同じようにブロックを手にしている子がもう一人。手にした緑色の大きめのブロックを見つめている。タブレットか何かの画面を見ているように感じたので、「何を見ているの?」と聞いてみたが、「見えないなぁ…」と言いながら指先であちこち押してみている。どうやら調整中のように見えた。

 ドレッサーの前では、筆を持ち、真剣な表情で化粧中の子がいて、その後ろでは、ブラッシング中の子が。その手前にも、アイシャドーをつけているのだろう、まぶたに指先をつけて化粧をする子が..。

 その光景は、子どもたちが家庭で普段見ている光景なのだろうと感じた。お母さんが化粧をしたり、髪の毛を整えている姿を、実際に自分でやってみているのだろう。細かい仕草に、それぞれのお母さんの姿が見えるような気がした。

 園にある玩具を、自分のイメージするものに見立てたり、身近な人の動きを真似てみたりと、この年齢ならではの姿があちこちで見られた朝だった。もっといろいろな『本物』や『素材』を用意して、遊び環境を整えていくと、どんな姿が見られるのか楽しみになる。

 朝おやつ後は、ランチスペースに作った運動コーナーで思い切り体を動かしたり、広告の紙や新聞紙遊び、ダンゴムシ製作、アイス屋さん等々、興味のある遊びがあちこちで繰り広げられていた。

 広告用紙を出した途端、「これ持ってる!」「知ってる!」と頭をくっつけて見ていた子どもたち。しばらく、玩具の広告を見ながら、子ども同士での会話が聞こえた。

 おままごとコーナーでは、「アイスはいかがですか?」と、用意しておいた羊毛とコーンに見立てた円錐形の色画用紙、そして紙コップを出してアイスを作り始める子が。アイスのメニューを開き、「どれにしますか?」と声が掛かると、「これ」と指をさして注文する子、作ってもらったアイスを大事そうに抱え、思わずペロッと舌先をつける子もいた。中には、「乾杯!」をアイス同士をくっつけ、笑顔で交わす子たちも。

 きっかけは保育者からということも多いが、子ども同士で同じイメージを持ち、言葉を交わしながら遊ぶ姿が増えてきているように感じる。

 関わって遊ぶことの本当の面白さを、感じ始めているのかもしれない。

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