食紅の色水

 今日の朝の会で紙芝居を読むことを伝えると、「彩ちゃんが選びたい!」と声が上がった。「じゃあ、先生は向こうで待ってるから、好きなのを選んで来てね」と伝え、保育者は、紙芝居の棚のそばを離れた。

 紙芝居の棚と朝の会の場所は離れてい流ので、「先生も、(ここで)待ってて!」と言われるかと思ったが、その声は掛からなかった。
 少し離れた場所から、こっそり様子を覗いていると、棚から紙芝居を引き出して、カバーの絵を確認しては戻していく。その真剣な姿は、まるで自分の思いと紙芝居のカバーの絵とを擦り合わせているようだ。
 それを確認をした保育者がテラスで待っていると、『眠れる森の美女』を持って戻って来た。

 大人の存在や見守りを、すぐ近くに感じられなくても、不安にならずに、納得がいくまで物事に取り組む力が育っている。これは、その環境に大きな安心感を抱けているからこその姿なのだろう。

 『眠れる森の美女』を読み終えてから、「今日は先生も『魔法の粉』を持って来たんだよ」と話をした。おどろおどろしい魔女になったような声色でそう伝えると、子どもたちの目は、保育者が差し出した食紅に釘付けになる。

 私は、食紅で作る色水が好きだ。絵の具で作るものとは一味違い、その透明度からはなんとも言えない清涼感が漂う。

 『絵の具のある生活』がかぜグループに流れ込んで来ている今だからこそ、絵の具とはまた一味違う色の世界や、暑さを吹き飛ばすような清涼感を、子どもたちと一緒に味わえたら…そんな思いを抱きながら、今日は園庭で食紅の色水遊びを繰り広げた。

 タライの中に水を汲み、小さなスプーンに食紅の粉を極少量乗せて、水の上に落としていく。容器やスプーンなども用意すると、自然と混ぜるのは子どもたちの仕事となる。そして、あっという間に4色の色水が出来上がった。

 色とりどりの色水を、芙優ちゃんは一色ずつ製氷皿に注いでいった。彩奈ちゃんは、豪快にタライの中に製氷皿を落とし、それから「そうだ!コチカチ作ろうよ!」と言った。

 保育者はすぐにピンとくる。『コチカチ』とは、カチンカチンに凍った氷のことだと。

 色水遊びの後半には、食紅を水の上に落とすことも子どもたちの仕事となり、光希くんは赤・青・黄・緑の色水から黒を作り出すという魔法を使い、叶芽くんは保育者と歩也くんのことを、ホウキに乗る魔女に変身させてくれた。

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