気乗りがしない、その先に

 雨がやみ、計画していた通り2グループに分かれて散歩に出掛けることにした。けれど、保育室の中で目的地のリクエストを尋ねても、今日の子どもたちからはあまり答えが返ってこない。

 雨は降っていなくても、どこかどんよりとした空に、あまり意欲が湧かないのだろうか…けれど、雨の後の散歩には、特別な出会いや発見がたくさん潜んでいる。
 そうした機会を逃したくなくて、保育者は散歩リュックを背負って玄関に向かった。

 玄関で、再び目的地のリクエストを尋ねると、少し元気が出てきたのか、「くたんぽ公園!」と返ってきた。
 保育者は、正直、もう少し近くの公園が良いなと思っていた。朝の会も終え、後発隊であった私たちのグループは、いつもよりも出発時間が遅くなっていたからだ。

 公園で、子どもたちが満足いくまで遊ぶ時間は持てるのだろうか…でも、やっと出てきた「くたんぽ公園!」という意志を止めたくなくて、散歩ボードの行き先欄には『くたんぽ公園』と記した。

 くたんぽ公園に行くまでの道には、見晴らし橋がある。そこで、子どもたちが赤くなっている実を見つけた。
 保育者が「これは何だろう」と呟くと、「さくらんぼだよ!」と教えてくれる。

 さくらんぼが、子どもたちの目と手が届く高さにあるのは、まさにこの場所にきたからこそ。
 無心になってさくらんぼを採る子どもたちを見ながら、くたんぽ公園を目指して、やっぱり良かったと思った。

 しかし、さくらんぼも採り、電車も見た時点で、さらに時間は押していた。

 目の前に見える赤石公園でたっぷり遊ぶか、遊ぶ時間が短くても、当初のくたんぽ公園を目指すのか。急遽、それを決める会議を開くと、愛真ちゃんは「パンダ公園!」と言った。
 ほとんどの子どもたちが、迷いなく、くたんぽ公園を選ぶ中、愛真ちゃんのパンダ公園への思いも揺るがない。
 決まらないまま、時間だけが過ぎてはなと少し焦りながら、保育者が「くたんぽ公園の道と、パンダ公園は繋がっているのかなぁ…」と呟くと、愛真ちゃんは「…こっち(にする)!」と、皆と同じ方向を指差した。

 それから、くたんぽ公園までの遊歩道を歩きながら、愛真ちゃんは「なんか、(この道は)良い匂いする!」や「(工事の)人がいる!」など、この道ならではの発見をしていた。

 無事に着いた、くたんぽ公園。
 そこでは、楓真くんが「またプルプルしたの、ある!!」と、自分の爪よりも小さな、樹液の塊を見つけた。前に見たことのある、固くてツルツルした樹液の塊は、雨に濡れて、プルプルとその様子を変えていた。

 くたんぽ公園の茂みの中の小道では、雅工くんがミミズを見つけたり、それを歩也くんが葉っぱで掴んで逃がしてあげたり、雨上がりならではの出会いや体験があった。

 気分が乗らないこともある。でも、自分の思いと異なる方へ進んでみたら、新たな出会いや気付きがあったり、案外、楽しかったりする。

 くたんぽ公園の道は、パンダ公園に繋がっているのか…次こそは、愛真ちゃんと探検したい。

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