箱を置いてみた

 先日、園に絵画用の乾燥棚が届いた。それは、とてつもなく巨大な段ボール箱で梱包されていた。
 保育者の多くは、大きな段ボールを見ると色めき立つ。何か、楽しいことができそうと想像をするから。予想通り、各クラスから「不要ならうちで使いたい」という声があった。そして、数々のライバルを押し退け、なんとかそれを手に入れたので、子どもたちの様子を見ながら、うまく活用できたらとチャンスを伺っていた。

  保育室では、海の壁面製作を楽しんでいた。製作コーナーの森作りから派生して始まった海作り。様々な海の生き物を日々貼り足しており、だいぶ賑やかになってきたが、保育者は悩んでいた。この活動を、子どもたちは楽しんではいるが、前回の森の時と経験が似ているな。何か、新しい展開にはならないものか…と。

 そんな時、ふと教材庫の中を見回してみると、あの時確保していた巨大段ボールが目に入った。
 「これだ!今がその時なのか!?」

 早速、海の前に、箱を置いてみた。

 子どもたちの反応は…予想通り、興味津々!!
 「大きい!」「入ってみたい!」「トンネルみたい!」「おうちになりそう!」出たり入ったりしながら思い思いにイメージを口にしている。」
 保育者「海の前にこんなに大きい箱があったら、何か作れそうじゃない?」
 子どもたち「おうち!」「隠れ家は?」
 保育者「海を見ながら大きいお風呂に入っても気持ちよさそう。」
 子どもたち「お風呂は変じゃない?」
 保育者「余っている段ボールもあるよ。ここにくっつけることもできそうだよね。」
 子どもたち「あ、船に見える!」「船いいじゃん!」「あれ?こんな長細い段ボールを立てたら、潜水艦に見えない?」「潜水艦にしようよ!」

 こうして、潜水艦を作ることになった。
 もしかしたら、こういう展開になるのでは…という思いも保育者の中には正直あった。それでも、「潜水艦」というアイデアは、保育者の想像を越えていた。そこがまた面白い。

 何を作るか?を決める時も、様々な意見が出たが、きっと、潜水艦を作り進めていく中でも、様々な意見が出てくることだろう。
 人と接する中で、関心や思いの違いを感じることはたくさんある。それぞれの思いを、対話を通して気付き、知り、認め、擦り合わせる。そして、その中で自分なりの役割を見つけ、関わり合うことを楽しむ。そんな経験へと繋がるような働きかけができたらと思う。

 潜水艦に必要なものを相談すると、「ハンドル」「操縦桿のスイッチ」ということになった。潜望鏡から海を見たいという声も聞かれた。ハギレの段ボールを出すと、誠くん、玲音くん、楷人くんが3人でハンドルを描き始めた。丸を描いた後、その円に沿って突起を描いている。図鑑を出しておけばよかったかな?とも思ったが、3人でイメージを共有し、一つの物を描いて納得している姿に驚いた。固い段ボールは、難しい箇所は手伝いつつも、励ますと、自分で切れそうなところは切ることができた。

 ハンドルを設置する位置を相談し、取り付けると、今度は周囲の子もスイッチを作り始めた。余っていた段ボールを適度な大きさに切り、マジックで着色し、貼り付けていった。貼りながら、「これはスピードアップ。」「これはバック。」「なるほどね。」などとイメージを伝えたり、共有する姿があった。

 ラップの芯を覗いて遊んでいる姿があったので、相談をしてみると、潜望鏡に穴を開け、そこに刺したらどうかということになった。ここで一つの問題が。背の高さによって、穴を開けたい位置が違う。ラップの芯はまだあることを伝えると、高い位置と低い位置の二つに芯をつけようということになった。

 とにもかくにも、潜水艦建造計画が始動し始めた。

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