化石
今日はギターを弾いていると、次第に子どもたちが集まり、そのままの流れで朝の会になった。
「先生!恐竜みたいな音出して。」
「次はね、チーターの音。」
「カバの音は?」
動物のイメージに合った音を弾くと、それに合わせて子どもたちが動物の真似をしながら歩き出した。しばらく歩いたことろで音を止め、「座って!座って!」と声を掛ければ、椅子取りゲームに早変わり。同じギターで音を出しているだけでも、ちょっとした工夫で面白さは変化していく。
実は、保育者は今日の朝の会をとても楽しみにしていた。なぜなら、子どもたちに見せるためにある物を手に入れたから。
そのある物とは化石!少し前に注文していたものがやっと届いたのだ。
生き物や恐竜、石などに関心がある子たちがいるので、この化石が各個人の興味をクラス全体の興味へと広げていく起爆剤になるのではないかと期待していた。
保育者「今日は、みんなに見せたい秘密のものがあるんだ。」
そう小声で話すと、子どもたちも小声になる。
実蒼「先生。秘密なら電気消したほうがいいんじゃない。」
秘密=薄暗い中というイメージがあるのだろうか。とにかく、「何が始まるのだろう」という「期待感」は高まった。
保育者「実は…本物の化石を持ってきたんだ」
子ども「えー!本物?」
子ども「えーアンモナイトいるじゃん。」
子ども「本物じゃん!」
子どもたちは触ったり、並べたりしながら化石を感じていく。「これはいい感触。ここから多くの子の関心に火がつき、クラスの流れになっていくであろう」と思いながら、
「朝の会はここまで。この後、この化石を飾る箱を作るつもりなんだけど、一緒にやりたい人は来てね。(ふふふ。多くの子が殺到するであろう)」
その結果は、、、保育者に付き合ってくれたのは日和ちゃん1人。
「どうして子どもたちの興味を呼び起こせなかったのか」と自問自答。
そのことを反芻しながら、日和ちゃんと箱を作っていると、実蒼ちゃんが戻ってきた。
実蒼「先生。化石見つけたよ。これ化石だと思う。」
次は尚くんが戻ってきて、
尚「化石見つけたよ。」
化石の話は無駄ではなかった。保育者の予想通りにはならなかったが、確実に子どもたちの興味を刺激していた。保育者にできることは、色々な刺激を与え続けること。これからも諦めずに頑張るぞと思う保育者だった。






