アナコンダと長さ

 ここ最近、クラスの雰囲気が変わってきた。「つやや」(5月23日の日誌参照)が聞かれなくなってきたのだ。どうやって「つやや病」は克服されていったのかの理由は二つ。「アナコンダ」と「長さ」だ。

 ことの始まりは実蒼ちゃんが、自宅の庭で見つけたアオダイショウの写真を持ってきてくれたこと。そこから、ヘビのお化け屋敷の話へと発展し、ヘビを調べているうちにアナコンダと出会った。(6月10日の日誌参照)

 アナコンダは世界最大級のヘビで、人間を捕食する可能性すらある、大人でも恐怖を覚えるような大ヘビ。子どもたちは「怖い!怖い!」と言いながら、それを上回る好奇心を抑えきれず、「何食べるの?」「うんちってするのかな。」「図鑑で調べたい。」「もっと他の写真ないの?」と保育者を質問攻めにし、その後の給食の時間でも、外遊びの時間でもあちらこちらから「アナコンダ…アナコンダ…」という言葉が聞こえてきた。

 アナコンダの魅力に取り憑かれた子どもたちは、何を食べるのか、うんちはするのか、どこに住んでいるのかなどを保育者の力も借りながら調べていった。最初は「怖い!」と言って、その写真を手の隙間から覗いていた子たちも、アナコンダを知っていくうちに、他クラスの子たちに「アナコンダっていうのはね」と語り出した。クラスに「アナコンダ」に関する会話が増えれば増えるほど、「つやや」は減っていった。

 そして、しろぐみみんなで10mのアナコンダ(ホールに飾ってある)を作ると、そこから、とりを中心とした「アナコンダ製作ブーム」が巻き起こった。

 明希「なんかさ。(しろぐみで作ったアナコンダは)平べったくて、全然アナコンダじゃないんだけど。」

 美晴「そうそう。」

 保育者「確かに。じゃあ、二人で作っちゃえば?」

 明希「え。。。作り方分かんないし。」

 保育者「あそこに実蒼ちゃんの作ったヘビとか、光義くんのアナコンダ(誕生会に向けて保育者と製作したもの)があるから、見てくれば。」

 明希「紙を丸めただけか。じゃあ作れそう。紙ちょうだい。」

 こうして二人は立体アナコンダを作り始めた。すると周りの子も「僕も」「私も」と作り始めたのだ。作ると言っても紙を丸めて繋げるだけなのだが、長くなっていく様子が面白い。

 美晴「先生。10mのやつ園長先生から借りてきて。」

 保育者「10m?」

 美晴「長さ測るやつ!」

 保育者「メジャーね!」

 借りてきて測ると2m越え。

 美晴「コニ(小西)より大きいかも。コニ持ってみて。」

 明希「コニよりは長くないでしょ。え?あ?コニより長い!!!みんな来て!」

 そこから「長さ」への関心が広がっていった。LaQでアナコンダを作ってその長さを測りたがったり、自分の身長を測ったり、何かにつけて長さを測るようになっていった。

 そして今日。朝から、

 美晴「コニ。今日は何すんの?アナコンダの続きやりたんだけど。」

 依千「ヘビのお化け屋敷に来てくれた人たちにプレゼントあげたいから、折り紙ちょうだい。」

 実蒼「紗英ちゃんと、お化け屋敷が怖いって子のために、お守り作りたいから紙ちょうだい。」

 柚希「お化け屋敷が怖い子のために、ボール当てゲームなんてどうかな?」

 玲音「ヘビの卵の色塗りならやりたい!」

 と、保育者にくっついてくる。「つやや病」が猛威を振るっていた頃からは考えられない。何だかとても嬉しくて、子どもたちの色々な要望に、汗だくになって応える保育者だった。

 しろぐみの子どもたちの個性は豊か。豊かなあまり、みんなに共通した興味を見つけるのは難しい。それが見つけられないと「つやや病」が発生するのかもしれない。だとすると、「つやや病」は保育者の責任だ。もちろん、まだまだ経験をしてほしいことはたくさんあるが、「アナコンダ」「長さ」など、みんなの共通の中に眠る興味をどんどん掘り起こして、「つやや病」を撲滅させていきたいと思う保育者だった。

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