忍者散歩

 壁に張り付き、小刻みに足踏みするように走る子どもたち。「忍者だよ」「ぼくも忍者だよ」と伝えあっている。今日の散歩では忍者になることにしたようだ。

 園周辺の歩き散歩。忍者たちはすぐにしゃがみ込み地面を調べている様子だ。「忍者さん、何かありましたか?」と尋ねてみた。「ダンゴムシだよ」「忍者はダンゴムシを捕まえるの」どうやらダンゴムシ探しは忍者の仕事の一つらしい。忍者になりきったまま、真剣な表情でダンゴムシを探している。

 以前は一つのことを始めると、他のことは忘れて夢中になっていたが、最近は、忍者になっていることも忘れずに、その役になり切ったまま、興味のあることにも取り組むことができるようになった。今日の忍者ごっこは長続きしそうだと思いながら、保育者も一緒に忍者になって小刻みに走る。

 岩山に登りながらも「忍者はジャンプするよ」「ダンゴムシも探さなきゃ」と忙しそうな子どもたち。岩山登りにも慣れてきたので、空想の世界で遊びながら登ることができるようになったのだ。不安定な足元に気をつけながらも、忍者であることは忘れずに、イメージの世界を楽しんでいる。

 水溜りが行く手を阻むと、立ち止まって、考え込む子どもたち。忍者らしく脇の岩へ飛び移るのか、それとも遠回りをして別のルートを行くのかと見守っていると、一人が「あっちから通るぞ」と力強く言い放つと、みんな、同じ方向へと走っていく。いつもなら別の選択をする子がいるのだが、今日は「忍者」という共通のイメージがあるので、皆が同じ行動をとっているようだ。

 背比べをするいつもの場所でも、あくまで「忍者の背をはかる」というイメージで遊んでいる。順番に岩に背をつけ、身長を調べると「よし」とかっこよく終了の合図。

 何しろ忍者なので、高い場所に登ったり、斜面を歩いたりと、なかなか危なっかしい。転んだり、尻もちをついたりと、いつもなら泣きべそをかいて「ママー」と声を上げそうな場面がいっぱいなのだが、今日は誰も泣かない。それどころか、斜面で尻もちをつくと、「忍者滑り台だよ」と、どこまでもイメージの中にいるのだ。

 「見て!忍者の変な顔だよ」と忍者になりきった変顔で友だちと笑い合い、忍者になったまま、鳩を追いかけ、かくれんぼしながら素早く園に帰ったのだった。

 見えているものにイメージを重ねながら、空想の世界を楽しむこんな散歩も、大事にしたいと思った。

 園庭で遊んだ子どもたちは、かぜぐみのカラーセロファンを使った遊びに参加したり、色水遊びをするなど、思い思いの遊びを楽しんでいた。

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