染料と出会う

 今日はこいち先生による造形活動があった。

 すでに始まっていた絵の具遊びを横目に、こいち先生は準備を始めていた。みんなが大好きなこいち先生の造形の時間。今日はどんなことが始まるのかと、ワクワクした様子でこいち先生の周りには子どもたちがたくさん集まっていた。どうやら今日は染料と和紙を使っていくようだ。

 染料と絵の具の違いを例えるなら紅茶とコーヒーなのだそうだ。

 染料は紅茶。 つまり、茶葉から染み出した液体が染料。

 絵の具はコーヒー。 つまり、粉が溶け込んでいる液体が絵の具。

 こいち先生が染料を使った描画のコーナーを広げると、子どもたちでいっぱいになった。

 染料は水やお湯に溶かして使うので、和紙に描いていくと、色が優しく滲んでいき透明感がある。また、筆先を和紙につけている時間の違いで、色の広がり方が変わることを教えてくれた。その話を聞くと、子どもたちはこいち先生と同じように、筆先をチョンとつけたりジュワーとつけたりしながら、広がり方の違いを確かめていた。先ほどまでは線を描く姿も多かったが、気付くと丸く滲んだ点が子どもたちの和紙に広がっていた。

 そうやって何枚も描きあげていると、その傍らで、こいち先生は、詩織ちゃんに何やら説明をしながら、和紙を折り始めた。

 子ども「こいち先生何やってるのー?」と、気づいた子が顔を覗かせる。

 こいち先生「内緒だよー。」

 ますます気になる子どもたち。こいち先生が和紙を折り終わると、

 こいち先生「今度はね、折り染めだよ。この折った紙に色を付けるよ!どんな風になるか見ててね。」

 と言いながら折った紙の角を染料に浸し、余分な水分はタオルで吸い取った。和紙をそっと広げると、和紙に滲んだ色が広がった、綺麗な模様が出来上がった。 

 それを見た他の子どもたちは当然「何これー!」「どうやったの?」「僕もやりたい!」と集まってくる。こいち先生は先程の折り方を伝えながらも「今、この折り方を教えているけど、どんな折り方でもいいんだよ。」と伝えていたが、まずは同じように折って、和紙を染料に浸す子どもたち。ここに、大きなポイントがあった。染料に浸す時は長くつけすぎずに『チョン』とやることが大事。長くつけてしまうと、水に弱い和紙の性質上、破れやすくなってしまう。そして、広げる時は破れないように、静かにそーっと広げていく。

 ぞれぞれ、自分が折ったものを染料に浸し、広げてみる。「見てー!こんな風になったよ!」「私のはこれだよ。」「あぁ、破れちゃった…」色々な声が聞こえてきた。

 一枚出来上がると、すぐに次の和紙に手を伸ばして、また折り始める子どもたち。和紙を広げた時の色彩の美しさに魅了されていることが、よくわかる。先程のこいち先生の言葉の通り、2回目は折り方を変えている子どもも多かった。

 こいち先生も「今度はこんな折り方にしてみたよ!」と言いながら子どもたちに見せていた。「どうやるのー?」「早く教えてよー!」という声に応えようとするこいち先生は大忙しだった。

 一枚作り終わると、すぐに新しい和紙を出している子どもたち。どうやって折ろうか、どの色にしようかを考える楽しさと、和紙を広げる時のワクワク感が、子どもたちを夢中にさせている。

 そして、ポイントである浸す時間。短いと模様が小さくなり、長いと大きくなる。長すぎると模様同士が重なっていき、余白の部分は無くなっていく。それは1秒ではなく、0.1秒というコントロール。それだけで全く違う模様になる。折り方、色、時間の組み合わせにより、模様は無限大だ。

 さっそく保育者も挑戦してみるが、開いた時の感動やその度に変化する模様のバリエーションに惹かれ、できるならば10枚くらいやってみたかったが、和紙が足らなくなってはと我慢をした。

 子どもたちは枚数を重ねていく毎に、折り方を工夫したり、色のつけ方を変えながら、本当に様々な模様の折り染めを作っていった。保育者はそれを一つ一つ新聞紙の上に広げていく作業で大忙しだったが、一つとして同じ模様がないことに心が揺れた。

 こいち先生は最後にキッチンペーパーと輪ゴムを使い、またひと味違う模様を見せてくれた。さすが専門家。

 この完成した折り染めが、次はどうなっていくのかは…お楽しみに。

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