こいち先生は博士だね

 朝、「今日は、こいち先生が来てくれるよ。どんなことするか楽しみだね。」と、子どもたちに声を掛けると、「こいっちゃんくるの!嬉しい。」「絶対こいっちゃんと遊ぶんだ。」と、こいち先生との時間を、子どもたちも楽しみにしていた。

 今日は、前回作った折染めを使って、「吹流し」という少し大きめの七夕飾りを作ることになった。興味を持った詩織ちゃんと理桜子ちゃんが、「どうやるの?」「どうすればいいの?」と、もう待ちきれない様子。こいち先生の説明を聞きながら、細長く切った折染めを、糊で貼り付けて長くして、詩織ちゃんが苦戦しながらも懸命に切った厚紙に貼り付けていく。もうそれだけで、折染めの模様が際立って美しい。全部貼り付け終わったら、その厚紙をくるりと巻いて吹流しにするのだが、

 こいち先生「このまま、貼った方が涼しげでいいかもしれない」

 と、そのまま窓に暖簾のように貼ってみると、暑さが少し和らぐような涼やかな雰囲気になり、子どもたちも、「おー!」と言いながら、何度もその下を通ったり、見上げたりしていた。中には、「いらっしゃいませー。」なんていう声も聞こえ、子どもたちの想像力も刺激されているようだった。

 細く切った折染めを何気なく腰に当てている一花ちゃんを見て、

 こいち先生「あっ、それ面白いね。たくさんつけたら、スカートになるよ。作ってみる?」

 一花「一花ちゃん、作りたい!」

 材料をパパッと用意して、スカート、首飾り、ペンダント、髪飾りなどを一緒に作り上げた。それを身につけた一花ちゃんは、嬉しそうに何度も姿見の前に立っていた。

 子どもの興味にパッと、柔軟に応ずるこいち先生の姿は、保育者にとってもとても参考になり、これが専門性なのだと実感した。

 その横で、蓮己くんが折り紙を細長く切って何やら作っていた。声を掛けてみると、

 蓮己「 みんなはあれ作ってるけど、はすくんはね、これを作ろうと思って。」

 数日前に一緒に作った、輪繋ぎを作ろうとしていたのだ。

 保育者「それじゃあ、先生も一緒にやろうかな。」

 すると、泰地くんや言葉ちゃんもやってきて一緒に作り始めた。その様子は、楽しさや面白さの波が広がっていくかのようだった。蓮己くんは本当に長い時間取り組んで、長い輪繋ぎを完成させていた。

 たくさんの面白さを教えてくれるこいち先生の後ろを、ずっとついていく詩織ちゃん。「こいち先生は、博士だね。」「そうだよ、こいっちゃんはお絵描き博士だよ。」と、こいち先生と会話をする理桜子ちゃん。こいち先生との時間は心地良くて、次はどんな面白いことを教えてくれるのだろうかと、ワクワクしている子どもたち。そして、それは保育者自身も同じであることに気がついた。自分の知らない世界を知ることは、本当に面白い。

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