先生、ハゲてるよ!
今日は久しぶりのプール。子どもたちも「やったね!」と思わず笑顔になる。
プールに入る順番も分かっている。あおぞらさんが1番に準備開始。遊んでいたものをさっさと片付け、「終わったから準備する!」と忙しそうに通り過ぎて行く。
うみさんは1度部屋に集まり、少しするとトイレに向かって走ってくる。本当なら走ってはいけないところだが、はやる気持ちも、今日ばかりはよくわかる。
そして最後がとりさん。時間になったら片付けることを伝えると、時計を見ながら、「まだだね。」「あと少しか。」と呟きながら遊んでいる。ずっと先を見通していく時間感覚には、さすが年長児と感心する。
そしてそれは、プールから上がった後、清水 誠くんと明希くんがジスターで遊んでいる時のことだった。誠くんが、座っている保育者の背後から負ぶさるようにしたり、前に回って抱っこだったり…。少し前に明希くんと喧嘩になり、一緒に遊ぶことにまだ照れがあるようで、保育者に関わるように見せながら、少しずつ、相手との距離縮めようとしているようだった。
保育者の顔のホクロや髪を観察したり触ったりしていた誠くん。すると「先生!先生の頭、ハゲてるよ!髪の毛ないところがある!」と叫んだのだ。
保育者「本当?!嘘でしょ。毛が生えてないところがある??」
誠くん「あるよ!」
保育者「毛がないんじゃなくて、白い毛とかでしょ?」
誠くん「違うよ。本当に生えてないよ。この辺とかさ。」
するとそこに、明希くんが登場。「それはつむじって言うんだよ。」と教えている。
段々と本当に心配になってくる保育者。気付かないうちに?、いやそんなことはと思いながら、
「待って。宮島先生の髪の毛もちょっと見てみて!どうなってる?」と声を掛けた。
「宮島先生もハゲてる!!」と誠くんが指指す場所を見ると、それは髪の毛の分け目だった。
そして、誠くんに勧められ、一緒に鏡で確認をすると、やはりそれは分け目だとわかり一安心。
誠くん「明希くんも、つむじのところは生えてないよ。」
明希くん「つむじは生えないんだよ。」
明希くん「誠くんにはつむじがふたつ。僕はひとつだけどね。そこが生えてないように見えるだけでしょ。」
誠くん「そっか。」
と納得をして、ようやく問題は解決。
確かに、他人の頭髪をゆっくりと観察する機会なんて、なかなかないことなのかもしれない。ひょんなことから、「分け目」と「つむじ」といった思いもかけない新たな物事を知っていく。これが子どもたちの毎日なのだ。