雨の日のテラスで

 梅雨を思い出させる連日の天気。今日もプールには入れないが、この空模様ではきっぱりと諦めがつくようで、「今日はお部屋でしょう」と、子どもたちの方から声が上がる。
 「そうなの、今日はお部屋なの。でも、今日は特別な紙を持って来たよ。皆が好きなあのおもちゃも出すね。テラスにはトランポリンを出して、たくさん身体を動かしたいなー。」と話す。

 今日はどんなことをしようかな…と、子どもたちがワクワクしてくれたら…そんな思いで、保育者自身のワクワク感も乗せながら話すと、今日の子どもたちの関心は、プラレールとトランポリンに二分した。

 テラスでは、年上の子が作った牛乳パックの積み木の囲いを見つけて、早速彩奈ちゃんたちが家作りを始めた。空璃ちゃんは、少し離れた所に小さめの囲いを作り、「ここはベッドなの」と教えてくれた。

 ジャンプ台(大型マット)とトランポリンの間を少しだけ離して、遊びの難易度を少し上げると、さらにドキドキ感が増す。するとまた遊びの面白さが広がっていく。

 この保育者からの挑戦状に、跳ぶことをためらう子もいたが、光希くんはそれを難なくこなすと、『いかに高く飛び跳ねられるか』という課題を、自分の中に設定し始めているようだった。
 叶芽くんも、そんな姿に刺激を受け、『光希くんのように、足を広げて跳べるか』と、挑戦を始めた。
 ひなたちゃんは、跳んでいる自分の姿が保育室の窓に映っていることに気付き、そこに映る姿をチェックしながらダンスレッスンを始めた。

 1時間経っても、テラスを離れない子どもたち。

 しばらくすると、空璃ちゃんは「バスステーション作ったよ」と、ベッドを並び替えて作った作品を見せてくれた。光希くんは、『トランポリンは正座でも跳べるのか』という挑戦も始め、ひなたちゃんは保育者の「くるりと回れそうだね」という言葉を聞いて、大型マットのくぼみに身体を沿わせて後転を始めた。そして、体勢を崩さずに回ることが出来るようになると、「先生!今度の特訓は何?!」と、威勢よく声をあげた。

 保育者がテラスに設けたのは、ただのジャンプ台とトランポリン。でも、そこに子どもたちのイマジネーションや探求心が加わると、遊びはそれぞれの中で少しずつ形を変えながら、長時間味わえるものになっていく。

 木の部屋の前では、業者の方が、プールのパネルの補修作業をしていた。その姿に気が付いた蒼太くんは、少し離れた所から興味深げに見つめていた。「皆のプールにひびが入ってたから、今日は直してくれてるんだって。近くで見たい?」と尋ねると、「うん!」と言って、台を持って駆けて行った。

 この雨の中、薬剤の匂いに包まれながら作業をしていた大人のことを、彼らはいつの日か思い出すことはあるだろうか…身体を雨に濡らして作業する姿に、感謝の思いが溢れた。

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