雨とシャワー

 はなぐみ保育室に子どもたちの元気な声が戻ってきた。休園明けで、朝はちょっぴり泣いてしまう子もいたが、すぐにいつもの元気を取り戻し、大きな笑い声が響いている。

 しとしと降る雨を眺めながら、「今日はお部屋で遊ぼうね」と、先日も遊んだ氷の風船を用意した。子どもたちはすぐに集まってきて、「つめたーい」と感覚を言葉にしながら触っている。

 しばらく室内で遊んでいたが、氷が溶け始めたので、テラスの通路へと移動した。屋根があるので、雨で濡れることはなさそうだ。氷を溶かすために、水を3センチほど入れた大きなタライを用意していると、子どもたちがボウルに氷風船を入れてやってきた。

 タライに氷を入れると、水がほんのり乳白色のピンクに変わっていく。今日の風船氷には絵の具を仕込んでおいたのだ。「お風呂だ」「プールだ」「ピンクの海だ」とそれぞれにイメージを口にしていく。

 誰かがブロックの動物を持ってきていたようで、子どもたちの手によって動物たちがタライの中を泳いだり、歩いたりしている。「わたしもやりたい」「動物さん、取ってくる」と保育者に伝えると、サッサと自分で足を洗い、室内へ動物ブロックを取りにいく。「何か面白いものあるかも」と室内に遊び道具を探しにいく子もいる。

 自分のやりたいことを言葉で伝え、行動できる子どもたち。こんな時は表情も生き生きとしている。遊びの主人公になれている充実感が、こんな表情にさせるのだろう。

 子どもたちの興味は氷から水へと徐々に移っていく。

 ボウルやボトル、ペットボトルなど様々な大きさの容器を用意しておくと、器用に水を移し替えている。ほんのりピンク色になった水は、透明な容器に入れると水の動きがよく見える。何度も移し替えながら、顔を近づけて水の動きをじっくりと見つめている。

 ペットボトルの底に穴を開けた玩具で、シャワーのように水を落として遊んでいた鷹次くんが、ブロックの象に水をかけ、「シャワーだよ」とつぶやくと、隣にいた凛久くんが、自分が持つ馬にもシャワーをかけてもらい「気持ちいい〜、ありがと〜」とやりとりしている。

 いつも自分が感じているシャワーの心地よさは、きっと他者も感じているはずと想像ができるというのが2歳児の育ち。そして、暑い日のシャワーには、子どもたちもやはり「さっぱり」と感じていることを知って、嬉しく思った。

 凛久くんと鷹次くんのシャワーごっこを見ていた仁十くんが、同じ玩具を手に取り、「見てよ、雨だよ」と保育者に伝えにきた。確かにペットボトルの底から落ちる水はシャワーのようでもあり、雨のようにも見える。「本当だ。雨だね。仁十くん、発見したね。」という保育者の声に、恋羽ちゃんも雨を降らせる。

 ふとテラスから外に目をやった恋羽ちゃんが「今日はちょっとちょっとだね」とつぶやいた。「何がちょっとちょっとなの?」と尋ねると、「外の雨。ちょっとちょっとだよ。これ(ペットボトルの水)はいっぱい降ってる。」

 確かに外の雨は小さな雨粒で、しとしとと静かに降っている。恋羽ちゃんのペットボトルの雨はシャワーのように激しく降っている。「確かに、みんなの雨はいっぱいで、お外の雨はちょっとだね。」という保育者の言葉にその場にいた子どもたちは皆、外の雨をしばらく見つめていた。

 静かに降る雨を見て、子どもたちはどんなことを思ったのだろう、とつい想像を巡らせてしまう。目の前の水も空から降ってくる雨も同じ「水」なのだと知っている子どもたち。氷遊びをしながら、イメージを広げていく子どもたちの心の中を少しだけ覗いたような気がした。

 これから暑い日は水に触れる機会が増えていく。シャワーや雨に見立てられる玩具を用意しておき、子どもたちのイメージを広げていきたいと思った。

 室内では、ブロック遊びやお絵かき、おままごとなどを楽しんでいた。休園の間に大きくなったキュウリを収穫し、観察した後、塩や味噌をつけて食べた。

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