友だちと一緒に

 今にも雨が降ってきそうな空の下、久しぶりに外に出る支度を始めた。靴下を手にして、最初から「先生、やってー!」と助けを求める子もいれば、両手でしっかりと靴下を持ち、指先を滑り込ませようと頑張っている子もいる。「自分で履いてごらん。ほら、〇〇くんがどうやっているか見てみたら?」という保育者の声を聞き、反応したのは、頑張って履こうとしていた子の方。

 「できない!」という子に向かって、「ほら、こうやってさ、こうやって…」と、少し得意気な表情で実演開始。すると相手も、それを少し見つめた後に同じように履こうとし始めた。その姿に、「△△くんなら、できるよ。そうそう、もう少しだ!」と保育者も応援する。

 裏の糸が指に引っかかってしまったり、足裏の面が甲側にきてしまってイライラする姿もあるが、すかさず方法を伝えると、また自分で頑張って履き直す。
 昨日休んでいた子は、今日が久しぶりの登園。少し甘えたい気持ちもあったのかもしれないが、友だちの姿に刺激を受けたり、応援されることで、自分で頑張ろうとする気持ちが湧いてきているように感じた。

 園庭に出ると、「追いかけっこしよう!」と声がかかり、数人でぐるぐると追いかけっこが始まった。昨日は1日外に出られなかったので、思い切り体を動かし、嬉しそうな子どもたち。ひとしきり走り終わると、それぞれが好きな遊びへと向かっていった。

 リヤカーを見つけて、引っ張ろうとしていたあけるくん。荷台に乗り込もうする子もいるため、思うようには動かせず、あけるくんの表情は険しくなる。少し緊張感のあるその様子を、周りで何人もの子どもたちが見守っていた。

 乗り込むことに必死な子どもたちは、あけるくんの表情に気づいていない様子だったので、「あけるくんのお顔見てごらん。乗っていいか聞いてみたのかな?」と声をかけてみた。乗り込もうとしていた2人から「のせて」と一言。すると、待っていたかのように、すぐに「いいよ」と応えたあけるくん。険しかった表情が少し和らいでいた。

 一人で遊ぶより友だちと一緒に遊ぶ方が楽しいことは分かっている。なので、この一言で、気持ちよく一緒に遊ぼうという気持ちになったのかもしれない。

 2人が無事に乗り込むと、重くてあけるくん一人では引っ張れない。その様子に、周りでみていた子も手伝おうとするのだが、なかなかうまく進まない。保育者は、ぐっと堪えてもう少し見守ることにした。

 ズリズリっと横に動き始めたと思ったら、また止まってしまう。「どっちにいくのかな?」と呟く保育者の言葉に、「あっち!」一斉に指をさして思いを伝えた子どもたち。「そうか!頑張って!」と声だけかける保育者に「うん!」と応え、また力をこめてリヤカーを動かそうとする。すると、いったん、指差した方とは逆方向に回るように動き出し、一周回っていきたい方向へと向いた。

 「いい感じ!」と思っていると、あけるくんの横にいた朔くんが、リヤカーの後ろに移動して力一杯押し始めると、急に勢いよく前進を始めたではないか。リヤカーを押している子も乗っている子も保育者も、笑顔になるのだった。

 試行錯誤しているうちに、後ろから押したらと考え、それを実行した朔くんが一番嬉しそうな表情だった。その姿に見ている保育者も嬉しくなるのだった。

 勢いよく走るリヤカーの中の2人は、「バンバン!」と指で鉄砲を作り、何かと戦っていた。イメージを共有して、2人の世界。押している子たちは、リヤカーを動かす楽しさを感じている。それぞれが違う楽しさを感じながら、みんなが笑顔で遊んでいた。

 友だちと一緒に遊ぶ楽しさや面白さを、たくさん感じてもらいたいと思う保育者だった。

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