ボールで何する?

 パッと逆さに開いた傘の中に、色とりどりのボールが飛び込んでくる。玉入れのように子どもたちがボールを投げ入れる。

 今日も雨で、外には行けない。身体を動かして遊ぶのが大好きな子どもたちが、室内でも全身を使って遊ぶことができるようにと、この遊びを考えた。

 お椀型になった傘にボールを投げ入れるのは意外と難しい。しっかりと狙いを定めないと簡単には入らない。初めのうちは、当たったボールで、ただただ傘が揺れるだけだったが、続けているうちに、ただ闇雲に投げるだけでは入らないことが、段々とわかってきたようだ。

 膝を曲げ、身体を沈みこませるようにしながら、視線はしっかりと傘の縁を捉えている。全身をバネのように勢いよく伸ばし、ジャンプしながらボールを投げる。着地しながら真剣な眼差しがボールの行方を捉える。

 「やった!入ったよ!」「あれー、入んない」どちらの子も表情は笑顔だ。結果よりも挑戦していること自体が面白い。

 傘がいっぱいになると、保育者が「雨が降るぞ〜」と傘を揺らしてボールを落としていく。「キャー」「雨、雨」と逃げ回る子もいれば、手の平を上に広げて、雨粒となったボールを捕まえにいく子もいる。

 ボールが床に転がると、自分も床に寝そべり、ボールと一緒にコロコロと転がって遊び始めた。寝返りを打つたびに、ボールも一緒にコロコロと動き、友だちの身体に当たったり、自分の身体に転がってきたり。その度に甲高い笑い声が響く。

 しばらく遊ぶと玉入れ遊びは自然と終わり、仕切りに使っているダンボールを円形の家にして、その中にボールを入れ始めた。一つの家に一人ずつ、ボールと一緒に入っていたのだが、やって来る友だちを受け入れていき、それぞれの家に2、3人ずつ入っている。家に入って遊ぶ子と家の中にボールを入れる子がいて、自然と役割分担ができている。

 子どもたちが小さな家にボールを集めて遊んでいる間に、保育者が画用紙を切ってオバケの形を作った。傘にぶら下げ、的にして遊ぼうかと思ったのだ。保育者の行動に気づいた子どもたちが、「先生、オバケ作ってる!」「そうだよ、オバケの顔、描いてくれる?」「やるやる」とペンを使って、色とりどりのオバケを描いてくれた。

 傘の周りにオバケをぶら下げてみた。描いた子どもたちは「これは凛久のオバケだよ」「これはこっちゃんの」と爪先立ちになり、精一杯手を伸ばしてオバケの尻尾あたりをタッチしている。ボールを持って「オバケをやっつける!」と戦闘ポーズを決め、「えいっ」とボールを投げる子もいる。誰が決めたわけでもない、自分の遊び方を見つけている。

 詩くんが窓の桟にボールを入れて一列に並べている。そうっとボールとつつくと、桟に沿ってボールが転がっていく。反対側からは篤煌くんが桟に沿ってボールを転がしている。ボールとボールがぶつかると二人もニッコリと微笑み合う。

 ブロックで作ったトラックにボールを乗せている仁十くん。ボールを荷物に見立てて、ミニカー遊びだ。

 初めは傘の玉入れだった遊びが、子どもたちの自由な発想で次々と変化していった。ずっと同じ遊びというわけにはいかないのが2歳児だが、だからといって遊びが途絶えることはない。

 子どもの発想を後押しするようなアイディアを、保育者も用意しておきたいと感じたボール遊びだった。

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