目に見えないもの

 ピタゴラス(磁石でくっつくブロック玩具)で夢中になって遊んでいた朔くん。ケースの中から正方形のピタゴラスのみを選び、積み上げていた。

 すると、そこへ凛久くんがやってきて、積み上がっていたピタゴラスを触ろうとして崩してしまうと、朔くんは大きな声で「朔くんが使ってた!やだー!」と気持ちを伝えている。

 友だちの存在を意識し始める2歳児。友だちの遊びに興味を持って、自分もやってみたいと思ったり、友だちが使っている玩具が魅力的に映ることもある。だが、その気持ちを、まだ言葉でうまく表現することが難しいので、その結果、友だちが遊びを邪魔したり、使っていたものを突然取ってしまうといったことが、はなぐみではよく見られる。

 金沢先生が凛久くんに「今、朔くんがやっていたんだよ。凛久くんもやりたかったら、こっちにもあるよ。」と、ピタゴラスを出して見せるのだが、少し離れた場所でしばらく考えていた凛久くんは、再び朔くんの元へ。どうするのかと見守っていると、なんと「一緒にやって良い?」と朔くんに尋ねたのだ。すると、朔くんも笑い返して、2人で一緒に遊び始めたのだった。

 凛久くんは、ただピタゴラスが使いたかったのではなく、実は、朔くんと一緒に遊びたいと思っていたようなのだ。目に見えること(行動)だけではわからない、「気持ち」というものがあることを改めて感じる。だからこそ、慌てて判断をせず、その前後の動きや表情、言葉等から、いくつかの仮説を立ててみるべきなのだ。

 その後も、2人は言葉を交わしながらピタゴラスで遊んでいた。朔くんが「ちょっと誰か手伝ってよ〜。」と助けを求めると、「良いよ!」と素早く動いて手伝う凛久くん。

 凛久くんが三角形のピタゴラスをくっつけようとすると、「それは違う!」と伝える朔くん。「じゃあどれ?」と凛久くんが返すと、「こっちだよ。」と正方形のピタゴラスを見せていた。

 こうして、少しずつ言葉で思いを伝えられるようになると、イメージを共有して遊ぶことが、どんどんと楽しくなっていくのだろう。

 勝手な判断を子どもに押し付けてしまうのではなく、気持ちに目をむけ、子どもたちの思いや言葉を引き出す関わりができる保育者でありたいと感じた瞬間であった。

 プール遊びでは、水の冷たさを感じながら、それぞれの遊びを楽しんでいた。

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