ヒゲ

 山盛りのとうもろこしを運んでいると、「なにそれー!」と集まってきた子どもたち。「とうもろこしの皮むきをしようと思うから、やりたい人は手を洗ってきてね。」と伝えると、すぐさま水道に向かう。「洗ったー!」と両手を保育者に見せ、椅子に座ると、「早く早く!」」と待ちきれない思いを言葉にする。

 目の前にとうもろこしが置かれると、すぐに皮むきに取り掛かった。

 皮を下にぐーっと引っ張るところまでは、難なくできるが、それを引きちぎるには、ぐっと力を込めなくてはならない。すると「できない〜!」「やって〜!」と声が上がるので、「硬いよね。ぐっと力を入れて引っ張ってみて!それでも取れなかったら教えてね。」と声を掛けると、「ん〜!」と力を込めている。

 他の場面でも、このような姿はよくある。例えば、着替え。「できない〜!」と助けを求めるが、保育者が側に座り、「先生ここで見ているから。」と声を掛けると、自分でできてしまう。見守られている安心感から、挑戦してみようという意欲が湧くのかもしれない。

 そして、「やってみたら自分でできたね。」という一言が、次への意欲を引き出すのだ。

 何枚も重なった皮を向き進めていくと、黄色い実が顔を出した。すると、「うわー!出た!」「とうもろこし!」と指を差しながら声を上げる。やはり皮がついたとうもろこしより、黄色いとうもろこしの方が、馴染みがあるようだ。

 テーブルに置かれたとうもろこしを見て、保育者はあることに気がついた。皮は全て剥かれているが、なぜかヒゲだけは残されたまま。「このおヒゲもとって欲しいんだ。」と伝えながら、とうもろこしを手渡そうとすると、「嫌!」と手を引いて拒む子どもたち。自分も幼い頃、このヒゲが苦手であったことを思い出した。

 それでも、保育者がやって見せたり、友だちがやっている姿を見ているうちに、挑戦する子が増えていった。初めは躊躇していた子も、慣れると「もう一回!」と夢中になっていた。

 とうもろこしのヒゲを見るのも触わるのも、初めてという子もいたのかもしれない。まだまだ2歳児。これからたくさんの初めてと出会っていくのだろう。

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