取れたよ!

 園庭に出ると、滑り台の下に水が溜まっていて、小さな池のようになっていた。その周りには、木の馬で柵が作られていたのだが…その柵を最も簡単に突破して、水たまりの近くまで行った夏音ちゃん。手には砂場玩具のスプーンが握られていた。

 スッと水たまりの近くにしゃがむと、そのスプーンで水を掻き始めた。それを見ていたのは、にじぐみのはなちゃん。じっと夏音ちゃんの姿を見ると、同じように中に入ろうとするのだが、木の馬で入れない…保育者に「ん!ん!」と開けての合図。

 無事に中に入ると、近くで夏音ちゃんをじっと観察。夏音ちゃんもはなちゃんの視線が気になり、チラチラと見ていた。

 しばらくすると、はなちゃんがいなくなり…戻ってきた。その手には、夏音ちゃんと同じスプーンが握られていたのだ。2人並んで水を掻き始めたのだが、お互いに意識し合っているのか、チラチラと見合いながら、静かに掻いていた。そんな姿をにじぐみの侑依ちゃんが見つめていた。

 その後すぐにはなちゃんが他の遊びへと移っていったのだが、夏音ちゃんはずっと水を掻き続けていた。これが単なる成長段階の違いの他にも、夏音ちゃんをそこまで掻き立てているものがあると感じ、そのまま夏音ちゃんの姿を見守った。

 すると、何やら呟き始めた夏音ちゃん。よく聞いてみると、「もうちょっと」と言っているようだった。夏音ちゃんが一心不乱に水を掻くのには、理由があったのである。

 その理由とは、“水に浮かぶ石をスプーンでとること”であった。陸からは手が届かなかった石。それを手繰り寄せようと水を掻き続けていたのである。もしかしたら橋の上からなら届くと考えたのであろう、初めは少し怖いと感じ渡らなかった橋にも足を踏み出したのである。

 そして、ついに、石をすくうことに成功!!その一部始終をずっと見守っていた侑依ちゃんに見せる姿には達成感がみなぎっていた!

 なんと、その姿をもうひとり見ていたのは正幸くん。夏音ちゃんの姿に感化され、水たまりに浮かんでいたボールを人差し指を駆使して自分の方に手繰り寄せ始めた。

 ひとりの遊びがいろいろな子へと波及していくそんな一場面であった。

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