野菜の形

 テーブルの上には色とりどりの野菜が置かれているのを見つけると、それをすぐに手に取る子どもたち。「これなぁんだ?」という保育者の問いに、「お野菜」「これは人参」「きゅうり」と次々に当てていく。

 保育者がゴーヤを手に、「じゃあ、これは?」と質問すると、「うーん」と思案顔。「とうもろこし?」「キュウリだよ」とそれぞれの考えを伝え合う。

 確かに、とうもろこしの大きさに似ていて、色や形はキュウリの様にも見える。目の前のものが一体何なのかを、頭をフル回転させて、これまでの記憶と照合をしている。そして、友だちの言葉を聞いて、さらに考えてみる。

 ちょうど目の前にキュウリがあったので、ゴーヤとキュウリを並べてみると、なんだか違う。「こっちは大きいよ」「凸凹だよ」とその違いに気づいて、言葉にして伝え合う。

 子どもたちと育てたオクラも収穫した。表面に毛が生えているオクラを持ってきた子どもたちは、「ふわふわしてる」と撫でる様に触って感触を確かめている。

 保育者が「やさいのおなか」という絵本を読んだ。実際に触れながら、絵本の野菜と見比べながら。絵本の中では、野菜の断面図もイラストで描かれている。

 「本当にそうなっているのか、今から切って確かめよう」と保育者が包丁を用意した。「包丁は危ないから、みんなは手をしまっておいてね」と伝えると、急いで手を膝に乗せて神妙な面持ちで待っている。

 手を膝に置いたまま、断面を見ようと身を乗り出す様子に、関心の深さが伺われる。断面を絵本と見比べ、匂いを確かめ、熱心に野菜の研究だ。

 いつもは美味しくいただく野菜たちだが、今日はその形に着目して、野菜スタンプをして遊ぶことにした。スタンプ台で色をつけ、画用紙にポンと置くと野菜の断面が写し出される。

 「ぽん」「ぎゅ」など、力の入れ加減を声にしながらスタンプを押していく。しばらくはスタンプすることに夢中だったが、そのうち、野菜を筆にして線を描く子や、野菜を積み木の様にして画用紙の上に積み重ねて遊ぶ子も出てきた。

 所狭しとスタンプが押された作品もあれば、野菜を筆で描いた芸術的なタッチの作品もあり、どれも皆、一人一人の個性や楽しんで製作した過程を感じさせるものだった。

 じっくりと野菜に触れ、観察してみることで、ますます興味が深まり、野菜スタンプでの遊びも広がっていくのを感じた。

 子どもたちの心に残る体験とは、興味が深まっている時に生まれるのではないかと思う。そのきっかけを作っていきたいと思っている。

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