蝉のすみか

 先日、叶芽くんが蝉を捕まえたことから、ちょっとした蝉ブームを迎えている。絵本や図鑑、パズルなどあちこちに蝉を見つけては、「蝉いた!」と教えてくれる。

 それならばと、保育者が折り紙で蝉を作ってみせると、予想通りに「私も。」「僕も。」と関心を寄せる。折る回数が多く、少し難しいかなと思ったが、一緒に折りながら完成させた蝉を見ると、何とも嬉しそうな表情の子どもたち。

 一人が窓ガラスに貼り付けると、たちまちのうちに窓がいっぱいになるほど、「もう一回。」「今度は青のセミ。」と蝉作りに夢中になっていく子どもたち。そして、「最初は三角でしょ。次はこう?」と次第に折り方も覚えていく。

 窓が色とりどりの蝉で埋め尽くされて、壁面には先日製作した海。そこへ、外からは賑やかな蝉の声も聞こえくると、うみぐみの部屋は夏一色といった感じだ。

 今日も朝から、「蝉作る!」と楽しむ子がいる中、かなめくんが「蝉は木が好きなんだよ。」と教えてくれた。「そうなの?じゃあ、みんなが作った蝉さんにも木を作ってあげようか?」と言うと、周りにいた子どもたちが「うん、作ろう!」と木の製作が始まった。

 カラー段ボールがあったので、それで木の幹を作っていると、柚木ちゃんが折り紙で枝を作ってくれた。「葉っぱはどうやって作ろうか?クレヨンとか絵の具とかもあるけど。」と話していると、蒼太くんが「絵の具!絵の具やりたい。」と、子どもたちの中に、木のイメージが膨らんでいることが伝わってくる。

 筆とたんぽの用意を始めると、その姿を見てさらに子どもたちが集まってくる。最初は筆やたんぽで塗り広げることを楽しんでいたが、塗り広げたところに偶然手をついたことから、そのまま、絵の具の感触を楽しむように手で塗り広げ始めた。保育者が「ペタってやってごらん。」の声に、手形が付けられることがわかると、「私も。」「僕も。」とみんな筆を置き、手形を楽しんでいた。

 絵の具を乾かしながら遊んでいると、一人の子が蝉を窓から外したようで、「〇〇くんが、蝉取っちゃったよ。」との声が聞こえてきた。「木ができたから、新しいお家に飛んで行くんじゃない?」と話すと、次々に樹木へと移動を開始する蝉たち。途端に樹木が賑やかになっていく。

 すると、「みーん、みん、みん、みん。」という鳴き声が、絵本コーナーの方から響いてきた。見ると、旺來くんが絵本コーナーの壁に蝉を止まらせていた。現実の蝉はあちこちへと飛んでいく。ちゃんとそれを知っている旺來くんの動きに感心した。

 絵の具が乾いてきたので、その色のついた紙を「葉っぱにしようか?」と声をかけると、「やりたーい!」と、また集まってくる子どもたち。

 切り絵の要領で、半分に折った紙にハサミを入れて開くと、何と葉っぱの形になっている。するとみな、パッと笑顔を覗かせる。5月に一回切りから始めたハサミも、上達しているのがよくわかる。子どもたちは「もう一回。」「もう一回。」と夢中になっていく。

 折り紙にしても、ハサミにしても、やはり「少し難しい」ことが、子どもたちを夢中にさせる。

 一つの大きな活動の流れ中で、それぞれが、興味のある部分に関わりながら一つの作品が出来上がっていく。その完成もさることながら、次の瞬間には、一体誰が関わってくるのかが、楽しみになる保育者だった。

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