ルール

 異年齢で過ごす土曜日。いつも過ごす場所とは違うはなぐみの保育室で、それぞれが目新しい玩具を前に品定め。

 はなぐみにはペットボトルで作った空気砲と、その空気砲で遊ぶための画用紙を人型に切った紙相撲が置いてある。すぐにそれを見つけて遊び始めた。

 台の上に的を並べ、少し離れて空気砲で撃つが、距離が遠かったのか倒れない。徐々に近づいて、倒れる距離を探している。遠すぎると倒れないし、近すぎると簡単でつまらないので、ちょうど良い距離を探しているようだ。

 一人が空気砲で撃っていると、もう一人がセロファンを貼った眼鏡の様な玩具をカメラに見立て、「写真撮るよ」とカメラを向ける。「カシャカシャカシャ」とシャッター音を口にしながら、友だちが的を撃つ姿を激写する。撃っている方も、「いくよ」とカッコよく空気砲を構え、パン!と音を響かせて撃って見せる。撮影会の様なごっこ遊びも加わって、遊びが盛り上がっていく。

 すると、遊びながら決まり事も出来ていく。「あんまり近づいちゃダメ」「この線までね」「ここから撃つことにしよう」など、的までの距離や、倒れた的を立てる時には「二人で並べようよ」と協力することも決まった。

 それぞれが勝手に遊んでいても楽しくない。互いの遊びを尊重しながら、自然とルールが出来上がっていくことに驚かされる。制限を設けることが、むしろもっと楽しめることになるのだ。

 しばらく自分たちが決めたルールで遊んでいたが、保育者が仲間に入ると、様子が一変。「負けないぞー」と保育者の煽る声を背中に聞きながら、どんどんと的に近寄っていく。「ずるいよ〜」という保育者の情けない声に大笑いしながら、空気砲の先を的にくっつける様にしながら倒しまくっている。

 大人相手では敵わないと悟ったのか、勝つためにはルールなんて守っていられない。ちょっぴりズルをしても、その甘えを受け止め、一緒に面白がってくれるだろうという保育者への信頼があってこそ。共通の敵の登場に、今度はライバルだった子ども同士が結託をして、それに立ち向かうのもまた楽しいのだ。

 こんな負けん気も頼もしいと、思わず笑ってしまったのだった。