真夏の足湯

 暑さに加え、湿度も高い。プールからはうみ、あおぞら、とりの子の気持ちよさそうな賑やかな声が聞こえてくる。9月が近づいてきても、まだまだプール日和は続きそうだ。

 それでも園庭には、必ず子どもの姿がある。虫捕り、ハンモック、水鉄砲など色々な遊びがある中、一部の子に人気なのが通称「足湯」。これはタライやバケツに水を入れ、足を入れながらおしゃべりをする「足水」だ。足を冷やすだけでも体の熱が下がり、汗が引いてゆく。

 今日も「足湯やりたいからバケツかタライ出して。」と声を掛けられたので、タライを用意して渡したのだが、またすぐに戻ってきた子どもたち。

 「水運ぶものも出して。」

 どうやら、タライに水を入れてしまうと重くて運べなかったので、先に目的の場所にタライ置き、そこへ水を運ぶ方法に変えたらしい。何か使えるものがないかアトリエを覗くと、ペットボトルをつなぎ合わせたパイプのようなものが目に入った。「これなんてどう?」と提案するが、「え?ジョウロとかで良いんだけど。」と、さっさと水をためて、すぐにでも足湯に浸りたい様子。

 それでも、試行錯誤していくうちに、それが面白い遊びになるのではないかと考えた保育者が、「やってみようよ。」と少し強引に薦めてみると、「まあ、良いけど。」と渋々パイプを手に取った。

 「だめだ。全然水が出ないよ。」

 長さが違う2本のパイプ。タライに一番近い蛇口を使えば、長いパイプ一本で届きそうなのだが、なぜか2本のパイプを使おうとするため、もう一つ向こうの蛇口から水を入れている。しかし、左の画像のように、水道の縁を越えるためには、パイプ同士が山なりとなりうまくつながらない。

 試行錯誤するうちに、たまたま長いパイプの端が流しの縁に乗っかり、2本をつなげやすくなったのだが、今度は短いパイプがタライまで届かない。しばらく考え込んでいた子どもたちだったが、急に帆夏ちゃんが声をあげた。

 「届かないなら、タライを近くに動かせば良いんじゃん。」

 それを聞いて、「そうじゃん。簡単じゃん。」「なんで思いつかなかったんだろう。」と笑い合う子どもたち。

 保育者から手渡されたものなので、このパイプをどう使うのかという思いに縛られ、頭が硬くなっていたのかもしれない。これをきっかけに、次々とアイデアが飛び出し始めた。

 「ここが(流しの縁)が高いからやりにくいじゃん。後ろの水道なら、ここがないから良いんじゃない?」

 「これ(パイプ)が2本だからやりにくいんだ。テープでくっつけちゃえば良いじゃん。」

 「タライに一番近い水道からやれば良いんだ。」

 

 途中、何度かチョロチョロとタライに水が届くことはあったが、「まだまだ全然ダメ。タライから溢れるまで頑張るんだ!」と洋服を濡らしながら取り組む子どもたち。

 そして、ついにタライは水でいっぱいになると、念願の「足湯」を楽しむのかと思いきや、子どもたちは「じゃあさ、水道とこれ(パイプ)をテープで繋いじゃえば持ってなくてすむじゃん。」と、次なる工夫に挑んでいく。

 気付くと、保育者から提案を自分たちの遊びにしていた子どもたち。「足湯」で涼むはずが、汗だくになりながら「大量の水をタライに運ぶ方法」を模索し続けていたのだった。

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