シートの海賊船

 ブロックやおままごと、塗り絵に絵本。それぞれが自分の興味のある遊びを選んでいた子どもたち。しかししばらくして、光義くんと玲音ちゃんと柊介くんがシートを広げて、ピクニックごっこを始めると、他の子どもたちも集まってきた。

 そしてシートの上で、以前テレビで見たアシカが可愛かったこと、夏休みに家族で海に行ったことが楽しかったことなどを語り合っていた。すると、

 「ここさ、なんだか船に見えない?」

 「見える!」

 「ここを船にして、みんなで海賊になろう!」

 「えー、でもここお部屋だよ?海に見えないよ。」

 「別に、お部屋の海賊船があってもいいと思う。」

 「それに、あのマットのところを海にすればいいよ!」

 「そっかー、それも面白いね!」

 「じゃあ、俺が船長!」

 「そんなのずるいよ!私たちが作ったんだから、私たち3人が船長!」

 海賊ごっこが始まった途端、船長決めで揉め始めた。自分たちだけでは、解決できないと感じたのか、年長の子どもが保育者に助けを求めてきた。

 「うーん、船長以外だったら、船員かな。」

 「船員って?船長の手下?船長より上の人?」

 「船長の手下ではないけど、船長の上でもない。」

 「それじゃ嫌なんだって!!」

 「船長と同じくらいがいいんだね?」

 「そう!下でもなくて上でもないやつ!」

 「リーダーは?」

 「あっ、リーダーいいね!チームのリーダーとか、クラスのリーダーって言うもんね。」

 「あとは、ボスとかどう?」

 「ゲームで、最後に出てくるやつだ!強いやつ!よし、リーダーとボスにしよう!」

 どうしたものかと捻り出した「ボス」と「リーダー」という新たな役職がなんとか採用され、ボスとリーダーと船長を乗せた海賊船は、無事にマットの海に出航した。

 「あれは!アシカだ!」

 マットに寝そべる子どもを見て、誰かがそう叫ぶと、寝そべっていた子どもが反論した。

 「アシカじゃない!シャチ!」

 「間違えた!シャチだ!シャチは強い!ここは一回逃げるぞ!」

 「よし、この網(おままごとコーナーの風呂敷)で、魚を獲ってご飯にしよう!」

 「私は、みんなのためにご飯を作るわ!」

 子ども同士で相談しながら、様々なものを見立て、時に大人のアイデアも取り入れながら、皆で作るファンタジーの世界を存分に楽しんでいた。

 遊びを切り上げる時間となって保育者に片付けを促されると、自分たちの使っていた玩具の量の多さに気がつき、「次から、もう少し少ない玩具で遊ぼう。」「出しすぎたね。」と、ファンタジーの世界から一気に現実に引き戻された子どもたち。それでも、「またやろうね。」「うん、次の土曜日もここに集合だ。」と、この続きの世界をまだまだ楽しむ気満々のようだ。

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