貸して

 早いもので、8月もまもなく終わり。爽やかな風に秋の訪れを感じる。

 今朝、「お日様が出ていると暑いなって思うけれど、風が吹くと少し寒いなとも思うの。プールどうしようか?」と子どもたちに相談を持ちかけた。すると、「入らない!」「プールする!」と自分の意見を伝える子どもたち。そこで今日は、プールに入るのか、室内で遊ぶのかを子どもたちが選択することにした。

 室内では何をして遊ぼうかと考えた保育者が、「クレヨン?ペン?シール?折り紙?絵の具?小麦粉粘土?」といくつかの候補をあげると、「えーっと、クレヨンはしない。ペンもやだ。小麦粉…。絵の具!」とのことで、悩んだ結果、今日は絵の具遊びをすることに。

 夏を感じる魚のモビールを、秋が感じられるものに変えていきたいと考えていた保育者は、絵の具遊びで作ったものをモビールにしようと思いついた。

 画用紙を数枚用意して、テーブルに貼っていると、「何しているの?」「手伝おうか?」と2人がやってきて、一緒にテープを貼る。準備が完了すると、椅子に座って、「なんだか、楽しいことが始まりそうだよ?」と会話をしているのが聞こえてきた。

 絵の具を溶き、テーブルに並べると、待ちきれない様子で、「もうやっていい?」「これいい?」と尋ねる子どもたち。「いいよ。」と答えると、好きな色を選び、筆を走らせる。

 水を多めに溶いた絵の具が、じんわりと画用紙に広がる。赤、ピンク、オレンジの絵の具が混ざり合い、濃淡がつく。「混ざった!」「白みたいだね。」「ピンクになった!」と感じたことを言葉で表現する。

 室内に残ったのは数名だったため、1色につき筆を2本しか準備していなかった。3人が一度に同じ色を使いたいと思うと、筆が足りなくな理、案の定、「赤貸して。」「赤やりたい。」という声が上がった。すぐにもう1本ずつ筆を出そうかと思ったが、子ども同士のやりとりが生まれそうな予感に、少し見守ることにした。

 「ねえ、赤使いたいんだけど。貸してよ。」と隣に座る友だちに声を掛ける。すると、「無理。」との返答が。それでも「でも、赤やりたい。貸して。」とお願いをすると、今度は「だって今、使ってるんだもん。」と貸せない理由を教えて貰えた。

 どうするのだろうとさらに見守っていると、「そっか。」と何やら考えている。すると、「終わったら、貸してあげるけど。」という言葉を貰えたのだ。

 普段の生活の中でも、同じような場面は多い。大人は、「貸してって言ってごらん。」「いいよって言ってあげて。」と型通りのやり取りを促しがちなように感じる。しかし、相手には相手の都合や思いだってある。

 今まで、「貸して貰えそうかな?」「今使っているんじゃないかな?」「どうすれば良いかね。」と一緒に考えてきたことで、少しずつ、状況を見ながら交渉する力が育っているように感じた。

 プールでは、いかだを使ってその浮力を感じながら遊びを楽しんだ。

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