トンボ

 曇り空の下、園庭に出た。

「蝉だ!」と指さす先には、トンボ。「蝉に似ているけど、あれはトンボだね」と伝えながら、そういえば、今朝出勤する時には、蝉の声が全く聞こえなかったことを思い出した。あっという間に季節が変わろうとしているのを感じる。

 先に遊んでいたかぜグループのお兄さんたちが、虫取り網を手にトンボを追いかけているのを見て、「やりたい!」と思いを口にしながら、どこかに網がないかとあたりを見回す子、「網欲しい」と保育者に訴える子…年上の子がやっていることは魅力的で、なんでも真似をしてみたくなるのだろう。

 運よく網を手にした子が、網を空に掲げて走っていく。背丈よりも長い網を持ち上げて走るのは難しいと思うが、片手で器用にバランスを保っている。「がんばれー!」と保育者たちが応援していると、網を持っていない子も走り出した。トンボを見上げながら、「まてー!」と走ることが楽しい様子。ボールで遊んでいた子もボールを抱えたまま走り出す。笑い合いながら、追いかけっこが始まっていった。

 網を欲しいと保育者に訴えてきた子と、どうしたらいいかと考えていると、網を持っている子が気づいたようで、近くに来て様子を伺う。しばらくして、「はい」と網を差し出すと、受け取った子は嬉しそう。「わあ、貸してくれるの?」と声をかけると、「うん、いいよ」とのこと。きっと頭の中では、色々と考えを巡らしたのだろう。まだ使いたい気持ちもあったとは思うが、自分で決めたのだ。自分がされて嬉しかったことを友だちにもと思ったのだろうか。心の成長を見たように感じた。

 その後も、かぜグループのお兄さんが捕まえたトンボを見せてもらいながら、名前を教えてもらったりして、トンボに興味津々な子が何人もいた。そして、お兄さんの動きをじっと見つめている子もいた。はなぐみの子どもたちが、実際にトンボを捕まえる日はいつだろうかと楽しみになる。

 「これさ、ダンゴムシが好きな草じゃない?」かなり前に、ダンゴムシが食べた草を覚えていて、「持って行ってあげよう」と、ビニール袋に入れ始めた子も。「先生も一緒に取ってよ」と誘われたので、「どんなのがダンゴムシは好きなのかな?」と呟きながら草を見つめていると、「大きいのだよ」「小さいのも好きだよ」とそれぞれの思いを口にしながら摘んでいた。ダンゴムシのことも忘れてはいない。

 ダンゴムシ、蝉、トンボ…身近な生き物に興味津々のはなぐみの子どもたち。されに、どんな生き物に興味を広げるだろうか。まずは秋の虫の図鑑を用意しておくことにしよう。

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