ほうき散歩

 やっと天気に恵まれ、散歩に出かけた。

 実は、異年齢クラスの年度始めは、ほとんど毎日散歩に出かけると決めている。なぜなら、生活の場が他クラスと一緒だから。集まって何かをするか、外に出ていくしか、しろぐみだけで過ごすことはできない。

 なぜ、しろぐみだけで過ごしたいのか。それは、クラスの部屋(一般的な園は、クラス専用の部屋で生活する)がないから。生活しているときはごちゃまぜなので、クラスの繋がりや関係を作らないと、子どもの所属意識が育たず、落ち着いていかない。

 そんな理由もあり、散歩に出かけた。一度園を出てしまえば、周りにいるのはしろぐみだけ。自然としろぐみ同士が会話する。まだお互いの名前を覚えていないなどは関係ない。道に落ちているもの一つでも会話が始まる。

 まだまだ、ぎこちないクラスだが、この時間を繰り返すとどんな関係になっていくのか、今から楽しみだ。

 散歩の行き先を決めるときに一悶着あった。

「ほうき散歩(ほうきが倒れた方に歩いていく)」へ行きたい子が多く、決まりかけたときに彩瑛ちゃんが「ほうき散歩は時間が掛かるから嫌だな。」と発言したのだ。確かに「ほうき散歩」は、ただ、ほうきの倒れた方に行くだけなので、戻ったり、遠回りしたりと時間がかかる。

 きちんとした理由がある、みんなとは異なる意見は議論を面白くする。彩瑛ちゃんの声は小さかったが、あえてみんなに問いかけた。「彩瑛ちゃんがいいこと言ってくれた。ほうき散歩は時間がかかるんじゃない?だってさ。どう思う?」

 最初は、反対意見が出たことで「ほうき散歩に行けなくなるかも。」と思ったのか、「えー嫌だ。」「なんで?」「ほうき散歩でいいじゃん。」とマイナスの意見が噴出した。

 すると、明希くんが、「時間が掛かるのが嫌なんだったら、帰りは、ほうき使わないで帰ってくればいいじゃん。」と言った。折衷案の登場である。

 みんなと彩瑛ちゃんの咄嗟の反応は、「えー嫌だ。」ここは保育者の出番。「明希くん。いいじゃん。それなら、ほうき散歩もできるし、帰りはすぐに帰れる。最高じゃん。」

 すると、ポツポツと賛成する子が出始め、最終的には全員が明希くんの案に賛成した。

 きちんと自分の気持ちを発言できる環境の中で、やりたいことが最初から全員一致するなんていうことは滅多に起きない。何かしらの反対意見は出てくる。最初のうちはジャンケンで解決できるかもしれない。しかし、それでは解決できないことも増えてくる。どうやって「自分とは異なる意見を持った相手とどう一緒に遊んでいくのか」、この能力を鍛えれば社会に出ても使えるし、もしかしたら戦争さえ止められるかもしれない。これからも、どんどん異なる意見が出てくるように話し合いを進めていきたいと思っている保育者だった。

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