はなぐみの秋

 保育室に入ると、また一枚捲られたカレンダーが目に入る。今日から9月だ。

 今朝は、子どもたちと一緒に「とんぼのめがね」を歌った。数日前から歌い始めたこの歌。初めは聞いているだけだったが、今朝は保育者と一緒に口ずさんだり、リズムに合わせて体を揺らしたりと、覚え始めているようだった。

 保育室の夏らしい壁面も、秋らしいものに変えてはどうかと子どもたちに提案。コスモスを作って貼ることにした。

 加えて、先日子どもたちが着色した画用紙をきのこに見立て、そこにシールを貼る遊びや、さらにジャンプや平均台等で全身を使う遊びを準備することも伝えた。

 すると、すぐに「やるー!」と言って、それぞれが好きな遊びへと向かった。

 コスモスは、まず細く長く切られた紙片の数を数え、必要な枚数を手元に置く。そして、紙片の中央にのりを塗り、それを回転させるようにずらしながら貼り重ねる。数枚を重ねたら最後に黄色い画用紙を貼り、完成。

 保育者が作って見せると、その様子をじっと最後まで見つめる子と、その横でさっさとのりを塗り始めている子がいた。前者は、紙片の中央にだけのりを貼ることがわかっているが、後者の子は、紙片全体に塗ってベトベトになってしまうので、戸惑っているようだった。

 保育者が、「黒田先生の見本、見ていた?どこにのりを塗るんだっけ?」と尋ねると、保育者や友だちの手元を確認し、すぐに「ここか。」と気がついていく。コスモスが完成すると、それを自分で壁面に貼り、満足そうな表情だった。

 きのこを形取った画用紙をテーブルに並べると、「やるー!」と椅子に座る子どもたち。形、色、大きさ、模様の異なる多様なきのこの中から、「これにするー!」と好みのものを選ぶ。

 5色のシールを好きなように貼り進めているが、シールが重ならないよう、ちゃんと隙間を空けながら貼っていることに気がついた。進級当初は、重なりなんて気にせずに、台紙に貼ることだけを楽しんでいたのだが、遊びを繰り返すうちに、段々と覚えていったに違いない。

 緑・黄・赤を並べて「シール信号!」と声を上げる子もいた。「貼る」楽しさに加え、今は何かを「表現」する面白さが加わっているようだ。

 円柱マットの上に立ち体を揺らす子は、落ちそうで落ちないギリギリまで揺らし、そのスリルを楽しんでいるようだった。

 ジャンプがまだ少し怖く、保育者に助けを求める子もいた。保育者が「下を見ないで、上を見て飛んでごらん。先生の手にタッチしてみて!」と目の前に手を差し出すと、勇気を出してジャンプ。一度成功すれば、その後は保育者の手助けなしに何度もジャンプを繰り返す。

 ほんの一瞬の小さな手助けが、子どもたちの力を引き出していくことを、改めて感じた。

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