動き始める

 あおぐみにある梅ジュース。担任が休みの時に「梅ジュースを飲もう」という話になったそうなのだが、「ダメだよ。吉成先生がちゃんと重さ測ってからじゃないと飲めないよ!」という声が上がったという話を聞いた。毎回、計測するというクラスの習慣を大事にしようする姿や、担任の思いというものにも、考えを巡らしてくれている姿に成長を感じる。そして、そのことが純粋に嬉しかった。

 その梅ジュースを早く飲みたいと言っていた子どもたち。奏音くんが「先生、いつ飲むの?今日にしよう。」と声を掛けてくれていたこともあって、早く飲まなければと思っていたが、給食室で煮沸処理をしなければという大人の事情もあり、明日飲めるようにお願いに行く。もちろんその時には、奏音くんにジュースの瓶を運んでもらった。

 そういった今の状況を子どもたちに説明しないと…と思っていたちょうどその時、芽衣ちゃんが「先生、あのさ、いいこと思いついたんだけどさ、あおぐみでハロウィンパーティーしない?」との提案が。「うんそれもいいね!」と応えながら、せっかくなので保育者からは「ケーキ作りもしたいね」と伝えてみると、近くにいた子たちも、やっぱり「いいね!」との返事。

 「じゃあ、みんなを集めて話をしよう!」と声を掛けると、すぐに「あおぐみさ〜ん!!集まって!!」と奏音くんが動き出す。みんなも、「あおぐみだって!」「なになに?」と次々に集まってくる。

 奏音くんからは梅ジュースのこと、芽衣ちゃんからハロウィンパーティーのことを説明すると、他の子どもたちも大賛成。

 しかし、ひとつ心配なことがあった。それは「お化け屋敷」だ。7月からお化け屋敷をやりたいと、みんなで準備を進めていたところだったのだが、プールが始まりコロナ感染拡大で休園、担任の休み…などいろいろなことが重なって、実はあまり進んでいない。しかし、子どもたちのやりたいというこの気持ちも受け止めていきたい…そんな葛藤が渦巻いていた。

 そうした中、さらに海翔くんが「衣装作りたい!」と発言。やはり、お化け屋敷の時の衣装を作っていないことが気になっていたようだった。

 そこで、子どもたちには、やりかけの「お化け屋敷」と新たな「ハロウィンパーティー」、その両方を考えておいて欲しいと伝え、その場を解散した。

 そして、衣装作りをしたい子どもたちが木の部屋に集まる。海翔くんのイメージはウルトラマン。マントをつけること、青いものを胸に付けたいことなど、自分のイメージができ上がっている。

 弓乃ちゃんはドラキュラの羽根を作っていた。「腕から取れちゃうのが嫌なんだよね…」と言いながら、腕を通すベルトのようなものを画用紙で作って羽根につけていた。

 一方、知咲ちゃんのドラキュラの羽根にも、腕を通すためのビニール紐が取り付けてあった。既にこんな工夫が施されている、二人のその発想力には本当に驚く。

 奏音くんは「お化け屋敷のアナウンスをするためにマイクを作りたい!」とのこと。「本物のマイクみたいなのがいい」とのことだったので、園で使っている本物のマイクを見本にする。

 奏音くん「本当のマイクがいいんだよなぁ…。」

 保育者「え?本物みたいなマイクではなく、本物ってこと?!」

 奏音くん「そう。」

 保育者「本物のマイクを作るってこと?」

 奏音くん「うん」

 つまりその機能も含めて、本物を作りたいという意味だったようだ。さすがにそれはとても難しく、特別な技術がいることだということを伝えてみると、「そっか」と言って納得をしたのか、今度はパソコンでマイクを調べ始める。そして目に留まったのが金のマイク。「これを作る!」と言って材料を集めると、どんどんと作り上げていった。

 午睡時間に、「先生!」と帆夏ちゃんが声を掛けてきた。「あのさ。あおぐみのハロウインパーティーのケーキなんだけど、みんなで栗を拾いに行って、その栗を使ってマロンケーキにするのはどう?」「あと、好きな果物を最後にトッピングするっていうのは?」と、ケーキについてアイデアをくれた。

 こうやって、あおぐみの「お化け屋敷」と「ハロウィンパーティー」が動き出した。

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