ポップコーン作り

 おままごとコーナーに、食材に見立てられるようにと新しい玩具を置いた。花はじきを繋げて作ったものなのだが、孝太くんと蓮己くんは白だけを集めてフライパンに乗せ、ポップコーン作りをしていた。

 保育者は「ポップコーンってカップみたいなのに入っているよね。映画館とかでもらうような容器ないかなぁ。」とひとり言を言いながら、それらしい容器を探したが、手頃なものが見つからなかった。

 それならば作ってしまおうと、茶色い画用紙を持ってくると、その姿に気がついた子がすぐに「それ何に使うのー?」と集まってくる。

 保育者「ポップコーンを入れる容器を作るんだ。映画館にあるようなやつ。」

 子ども「え?映画やるのー?」

 保育者「いや、映画はやらないんだけど・・・でも映画館をやっても面白いよね!」

 子ども「映画館やりたーい!じゃあ、どういう映画にする?」

 と、映画館ごっこに向けて話が膨らんできた。そこで希望者を募ると7〜8人が集まってきた。話し合いの末、映画の内容を決めるチームとポップコーンを作るチームに分かれた。ポップコーンチームは場所を変え、テーブルを囲んでどのように進めていくのかを考えていった。

 保育者は、ポップコーンや容器はどうやって作るかといった話し合いが進められていくことを想定していたが、「本物のポップコーンがいい!!」という子どもたちの強い希望が出てきたので、本物のポップコーンを紙カップに入れることとなった。そして話し合いは終了した。

 実はこの時、保育者は複雑な思いだった。本物のポップコーンを作りたいという思いもわかるが、一方で、ごっこ遊びならではのポップコーン作りも楽しんでほしい…。

 そんな思いを抱きながらままごとコーナーに戻ると、映画ごっこの話し合いには参加していなかった孝太くんが、再びポップコーン作りをしていた。子どもたちとごっこ遊びを通して、ポップコーンを作りのイメージを再現する面白さを共有したかった保育者は、カップを作って、花はじきのポップコーンをその中に入れてみた。するとまた、「何やってるのー?」と子どもたちが集まってきた。

 保育者「ポップコーンのカップを作ったんだ!」

 子どもたち「ぼくも作りたい。」「どうやって折るの?」

 と興味津々だったので、早速折り方を伝えた。出来上がったカップに、孝太くんのポップコーンを入れてもらったのだが、ポップコーンの数が足りなくなってきていた。

 そこで、保育者が白い画用紙をちぎって丸め、「こんな風にするとポップコーンに見えない!?」と問いかけてみると、「ほんとだー!」「やってみたい!」「こうやるのー?」とポップコーン作りも活気付いてきた。子どもによって丸める大きさがまちまちで、巨大なものもあれば、小さくちぎって丸めた極小のポップコーンもあった。それに気が付いた子は「じゃあ小さいのはこっちで、大きいのはこっちね。」と鍋を数個用意し、サイズ別に振り分け始めていた。

 カップを作った子は、その中から好みの大きさのポップコーンを選び、自分のカップに入れていく。

 おままごとの道具を使い、「塩を入れるよー。」と話す声を聞き、保育者は「ポップコーンってさ、塩だけじゃなくていろんな味があるよね。」とつぶやいてみると、「そうだね!キャラメルとかあるよね!」「ディズニーランドにはたくさんの味があるよね。」といった声が聞こえてきた。

 子ども「いろんな味作ろう!」

 保育者「でもどうやって作る?」

 子ども「ペンで塗るとか!?」

 保育者「それいいね!」

 それを聞いていた日和ちゃんが、すぐに製作コーナーから色鉛筆を持ってきた。画用紙を丸めていた子たちが、今度は色ぬりに移行し、白いポップコーンが何色にも塗り分けられていった。

 保育者の願いからスタートしたポップコーン作りだが、子どもたちとアイデアを出し合いながら作りあげていく活動はやはり楽しい。

 最後に日和ちゃんがこう言った。

 「ねぇねぇ、作るだけじゃなくって売りたい!ポップコーン屋さんはいつやるの?」

 映画館とポップコーン屋さん、2つのことが動き始めた。

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