ネギはどれ?

 「給食さんから、お手伝いを頼まれたんだけど、やってくれる人いるかな?」と尋ねると、「やってあげる〜!」「やる〜!」との声があがった。

 保育者が手を洗おうと声を掛けた時には、既に手を洗い始めている子どもたち。すっかりお手伝いの流れを覚えている。

 「これはな〜んだ!」と野菜を見せるも、シーンと沈黙。「これは青梗菜っていう野菜だよ。みんなが野菜スタンプをした時に、お花の模様になった野菜なんだよ。」と伝えると、「わかった!」と声があがった。

 「青梗菜は、根元からポキっと折ってね。」と伝えながらやって見せると、直ぐに真似をする子どもたち。根元から丁寧に折っていた。

 「これは、な〜んだ!」と次の野菜を見せると、「たーまーねーぎー!」と皆が声を揃える。「惜しいなあ。名前は似ている!」とヒントを出すと、「じゃあ、ごぼう!」とのこと。「確かに、細長いところがそっくり!でも、違うんだよなあ〜。」と、正解は出ず。

 「正解は、ネギでした〜!」と言っても驚く様子もなく、「ネギー!」と声を揃える子どもたち。

 「ネギは、ボキボキって折ってみて!」と伝えると、「ん〜。」「こう?硬い。」と力を込める。

 一度折れると、今度は皮むきのように裂いていく子どもたちであった。

 お手伝いが終わると、野菜の絵合わせカードで遊び始める。「その中に、みんながさっきボキボキってしたお野菜あるかな?」と尋ねると、「あるよー!」と探し始める。

 バラバラのまま探していては難しいだろうと、まずは全部くっつけてみることを提案すると、「そうだね。」とカードを合わせ始めた。

 全て合わせ終わると、その中からネギを探す。一人が「これじゃない?」と指差すと、皆がそれを覗きこんだ。

 そこで、本物のネギと見比べてみることに。テーブルに本物のネギを置くと、その横にネギのカードが置かれた。「どうかな?」と見比べていると、「これじゃない?」とアスパラガスのカードを持ってきた子が。

 するとさらに「これだよ。」とごぼうのカードを持ってくる子も。アスパラガスとごぼうのカードも一緒に並べてみる。

 すると、そこに、野菜の絵本を持ってくる子まで。「これかな?」「これじゃない。」「ここが違う。」「同じ色だよ。」と本物とカードと絵本を見比べながら、みんなで考える。

 意見を言葉で伝え合いながら考え込む子どもたちの表情は真剣そのもの。

 そして最後には、「これがネギだ!」と満場一致で正解のカードが選ばれた。

 それにしても、大人にはすぐわかるのに、子どもたちが、なかなかネギのカードを見分けられなかったのはなぜだろう。大きさなのか、質感なのか、描かれた本数なのか。

 やはり野菜とて、一つ一つ姿形は異なるので、目の前にある本物のネギ、イラストや写真のネギでは、それぞれその形が少しずつ異なるのは当然。完全に形が一致しないそれらが、同じネギであることがわかるためには、ネギの姿形に共通する特徴(ネギらしさ)を知っていないと、同じネギだとはわからない。

 だからと言って、ネギらしさを言葉でなんて教えられはしない。さまざまな形の本物のネギを、見たり、触ったり、匂いを嗅いだりしているうちに、段々とネギらしさを掴んでいくのかもしれない。五感を通した体験こそを大事にしたい。

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