五感を使って

 今朝も、職場体験で来園中の中学生がうみぐみに入ってくれていた。昨日とは違うお兄さん。互いにまだ出会って数分というのに、絵本を通してその距離が一気に縮まっている。

 大人にはない、中学生から感じる何とも言えない親しみが、子どもたちを惹きつけるのだろう。

 多くを語りかけているわけではないが、むしろそういった少し控えめな雰囲気が、子どもたちの安心感となっているのかもしれない。
 保育者としても、大人としても、こうした雰囲気を纏っていたいと思った。

 朝の会の後は、雨上がりならではの出会いを求めて散歩に出た。

 歩道の茂みには雨露が溜まり、子どもたちがそっと重みを掛けてから手を離すと、パッと周囲に水しぶきが飛ぶ。
 コンクリートの窪みにも水がたまり、長靴の子どもたちは得意げに足を踏み入れていく。
 そのコンクリートの上にも、湿気を好むダンゴムシが、米粒よりも小さな赤ちゃんも連れて現れてたことに、子どもたちはすぐに気付いていた。

 雨に濡れた世界に、子どもたちの笑い声が響いていた。

 宮上小横の遊歩道を進むと、先日の散歩でたくさん見かけた蝉の抜け殻は数を減らし、代わりにこれまでとは違う虫の声が響いていた。
 保育者は季節の移ろいを知らせたくて、「蝉の抜け殻、少ないね。蝉の声はするかな…」とつぶやくと、「この声は、スズムシって言うんだよ。」と、物知りな子が教えてくれる。園までの行き帰りを、親子で耳を澄ませて歩いているのかもしれないと、思いを巡らせる。

 また、今日はたまたまあらゆる所で草刈りしていて、その横を通る度に子どもたちから「なんかくさい!」と声が上がった。「今日は雨の後だから、においがいつもより強いのかもね。これが草の匂いだよ。」と伝えると、少し不思議そうな顔をしていた。

 かと思えば、園舎裏を通った時には、「良い匂いがする!!」と興奮気味に声がわいた。それは、園から漂う給食の香り。

 耳や鼻も使いながら、歩みを進めた。

前の記事

体をいっぱい

次の記事

新たなるプロジェクト