散歩の目的

 「公園の滑り台やジャングルジムで遊ぶグループと、虫探しに行くグループと、好きな方を選んでね」

 保育者の言葉に、一瞬静かになって考え込む子どもたち。

 虫探しがブームとなっているはなぐみだが、散歩中に「ジャングルジムいきたい」という子がいたり、広場に着くと、走り回ることを楽しむ子もいることから、今日はこの2つの選択肢を提示した。

 するとすぐに決断を伝えてくる。今日はその目的がはっきりしているので、迷う子は少なくすんなりと決まった。

 虫探しグループはトンボのメガネと虫のカード、虫かごを持って出発した。

 園を出る時から身体をピョンピョンと弾ませて、踊る様に歩いていく。「あっるっこぉ〜、あっるっこぉ〜、」と一人がトトロのさんぽの歌を口ずさむと、周りの子どもたちも歌に合わせて、リズムをとって歩き出す。「手が足りなくなるくらい捕まえるぞぉー」「きっといっぱいいるよね?」「いろんなの捕まえるんだ」とそれぞれが自分の思いや決意を伝え合う。友だちの言葉を聞いて、ますます虫探しへの期待は高まり、じっとしていられない様子だ。

 ジャンプしながら小走りで園を出ると、さっきまでの激しい動きとは打って変わり、身体をかがめて地面を見つめながらゆっくりと歩く。息を飲むようにして歩きながら、虫を探しているのだ。桜の木の根元にアリの巣穴を見つけた。「虫の穴だよ、アリさんかな」「見てみて、アリの穴じゃない?」見つけたことを必ず保育者や友だちに伝える。

 虫探しの楽しみは、単純に虫を見つけることだけではない。「見つけた」「捕まえた」という驚きや発見を誰かに伝え、それを共感してもらうことにもある。言葉で気持ちを伝えられるようになってきた子どもたちは、今まさに、誰かと気持ちを伝え合うことの喜びを感じているのだ。

 この喜びは、「もっと知りたい」という知識欲にも繋がっている。新しい知識や発見をまた誰かに伝え、知ることの楽しさを感じて欲しい。

 今日は出発前から、子どもたちの中に明確な目的があった。グループ内で同じ目的を持って散歩をすると、全員が飽きることなく、いつまでもバッタを追いかけていた。

 誰かがバッタを見つけ、「ここにいるよ!」と知らせると、皆が必死に捕まえようとする。その雰囲気のせいか、いつもは虫に触れるのを躊躇する子も、今日は難なく捕まえていた。バッタの素早いジャンプにひるむことなく、「どこに行った?」「あっちにいるよ」「〇〇ちゃんの足のところだよ、捕まえて」と子どもたちが連携してバッタを追い詰めている。

 虫かごの中は、次々と捉えられたバッタでいっぱいになった。「ママに見せよう」「早くみんなに見せたいねぇ」と自信に溢れた表情の子どもたちだった。

 滑り台、ジャングルジムグループは内裏谷戸公園で遊んだ。全身を存分に動かしていた。

前の記事

ドンジャンケンポン

次の記事

3歳おめでとう!