台風の朝

 台風の影響で、雨予報が出ていた朝だったが、雨が止んで園庭で遊ぶことができた。保育者より一足先に園庭に出た子が「先生ー、ハンモックないじゃーん。」と駆け寄ってきた。

 いつもは、畳むだけで、軒下に出したままにしているのだが、台風のために取り込んだのだろうとアトリエの中を探すと、案の定。それを引っ張り出して元の場所に設置すると、そのハンモックの横にある、うみぐみで育てているきゅうりのプランターに目が止まった。

 なんと根っこが抜かれ、葉の方のネットにぶら下がっている状態だった。思わずえっと声を上げると、すぐさま「何?」と子どもたち。保育者の頭の中にも、一瞬「?」だったが、すぐに台風の風で抜けてしまったのだろうと考えた。

 「見て、きゅうりが根っこから抜けちゃってる。」

 「誰がやったの?」

 「台風で風が強かったから、抜けちゃったのかな。」

 「えー。きゅうり食べたかったー。」

 うみぐみのきゅうりは、この夏一度元気がなくなりかけたが、栄養(肥料)を上げることで元気を取り戻した。一度にたくさんは取れなかったものの、その分、長い間収穫が続いていた。先週も収穫して食べたばかりだったので、残念に思ったのだろう。

 そんな話をしているときに、蒼太くんがテラスにやってきた。手島先生が「蒼太くんがお話があるんだって。」と声をかけてくれた。

 すると、少し恥ずかしそうにしながら、「あおいちゃん(蒼太くんのお姉ちゃん)10時から学校なんだって。」と、台風の影響で、登校が遅れたことを教えてくれたのだ。きっと、お姉ちゃんの登校時間が変わったことで、いつもとちょっとだけ違う朝を過ごし、きっと、その新鮮な感覚を伝えたかったに違いない。

 「先生も大事な話があるの。見て蒼太くん、きゅうりが台風で抜けちゃってたの。」と伝えると、目を丸くした後「そうちゃんちも、風がガタンガタン凄かった。」と話してくれた。

 この地域は、幸いなことに大きな被害は受けなかったものの、屋外の様子の変化に気付いたり、いつもとはちょっと違う朝を迎えたことで、台風というものを体験的に知っていくのだろう。

 日中になると再び雨が降り始め、うみの部屋や木の部屋で好きな遊びを楽しんだ。

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