虹色の魚

 少し前から、海の壁画から発想を広げ、「浮き輪を作りたい。」という声が上がっていたので、少人数で作り始めていたのだが、色鮮やかな浮き輪や、それをつけて海の前を楽しそうに泳ぐ姿を見て、「私も」という子が増えていた。そこで今日は、魚などの生物の他に浮き輪も作れる環境を、壁画の前に設定してみた。

 その様子を見て、子どもたちが集まってきた。新聞紙を筒状に丸め、それをちょうどいい輪にすると、それをカラービニール袋で覆ってビニールテープで模様をつける。互いに手順を教え合う姿に、あまり保育者の出番はなさそうだ。

 そこで、保育者は何かのきっかけになればと、隣のテーブルで魚を作り始めた。色は…虹色しよう。すると、すぐに子どもがやってきて、保育者が作ったその魚を切り抜くと、海に貼り付けてくれた。

 海はまだ空きスペースがあったので、そこを指差し、「ここに何か貼れそう。」という子どもたち。「大きい魚にしようか?」「虹色の魚のお母さんがいいんじゃない?」空想が広がり始めたので、模造紙を出してみた。大きい魚を描き、色鉛筆や水性ペンで色あざやかに塗る。貼り付けるのも3人がかり。

 お母さん魚ができると、今度は「お父さんの魚も作らなくちゃ。」とアイデアが出たが、もう海の上にそんな大きな魚を貼るスペースはない。どうしようかと悩んだが、いい案がなかなか浮かばなかったようなので、保育者が「上から吊るすっていう案もあるけどね。」とつぶやくと、「それだ!」と満場一致。

 お母さん魚より大きくしたいということで、子どもたちと模造紙を広げ、サイズを確認しながら紙を切って用意した。
 4人で一つのものを描くのはなかなか難しそう。「尻尾はどっち?」「なんか形、変じゃない?」「そういうこと言わないで!」「私が目を描くって言ったじゃん!」と一触即発の場面でも、保育者が、互いの意見に耳を傾ける橋渡しさえ手伝えば、あとは子どもたち自身で解決して作業を進めていける。

 大きいお父さん魚は、全面を色鉛筆や水性ペンで塗るのは大変そう。ちょうどテラスに絵の具ワゴンも出ていたので、それもを伝えると、「絵の具で塗ろう!」ということになった。空の壁面の虹と照らし合わせながら、7色の絵の具を用意し塗り始めると、大きい魚だからなのか、ダイナミックに筆を走らせることを楽しんでいるようだった。塗っていくうちに色が重なり合い、なんともカラフルで賑やかな魚になった。
 後日、この絵の具が乾いたら、お父さん魚を切り抜く予定。

 床には絵の具が飛び散っていた。「掃除するから雑巾貸して!」と、保育者が何も言わずとも4人揃って雑巾がけをしている。「先生は和尚さんね!」「私たちは寺の子ども!」と、紙芝居で見たお話をイメージしながら掃除を楽しんでいる。

 そして、「和尚さんが、もうやめていいって言っても、私たち拭き続けるから!」と意欲満々。その意欲は、午睡ベッド敷きにまで及んだのだった。

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