伝え合い

 虫への関心が深まっている子どもたちが、捕まえた虫を入れるためのバッグを用意した。フリーザーパックにペットボトルを入れて空間を作っただけの簡単なものだが、それを見た子どもたちは、「虫捕まえに行こう」「これを捕まえる」と、ますます意欲が湧き立つ。

 それぞれバッグを持ち、うずまき公園方面へと出発だ。遊歩道の端にある雨水を流すくぼみを、線路に見立てて歩き出す。「トンボ電車だよ」と虫の名前をつけて友だちに伝えると、「じゃあ、絢士はバッタ電車にしよう」とこちらもまた自分が名付けた名称を、相手に知らせている。そして、「いいね」「そうしよう」としばらく立ち止まって話している。

 互いに連結された、同じ一つの電車なのだからということにこだわらずに、相手が決めた名前を「いいね」と認め合っている。恐らく彼らにとっては、一両ごとに名前が異なる、それぞれが独立した電車でもあるのだ。

 うずまき公園でも、足元のうずまきを線路にして電車ごっこ。3人ほどで遊んでいると、突然運転手が立ち止まったので、「どうして止まったの?」「早く行って」とお客さんから苦情が出た。

 「今、朔ちゃんが乗りに来たから止まったんだよ」という運転手の言葉に、「そうか」「朔くんどうぞ」とお客さんたちも場所を空けて待っている。「ありがとー」と乗り込む朔くん。

 公園ではあちらこちらの蜘蛛の巣で、大きな蜘蛛が餌を待ち構えていた。「蜘蛛の巣あった」と見つける声がすると、近くにいる子どもたちが集まり、「ほんとだね」「大きいね」と気持ちを口にしながら見つめていたが、「怖い」「触ってみたくない」「バッタに似てない」という詩くんの言葉を聞いて、「大丈夫だよ」「そうちゃんの方においでよ」「こっちに来いよ」とかっこよく声をかけ合う子どもたち。

 保育者の出る幕はなく、子どもたち同士でお互いを支え合うように、散歩しているのを感じる。

 そのままバッタを探しにいき、ショウリョウバッタ、殿様バッタ、蝶、などなど、数種類の虫たちを捕まえることができた。バッグの中に、それぞれお気に入りの落ち葉やどんぐりも入れて、満足気な子どもたちだった。

 自分の言いたいことを伝えるだけではなく、相手の話を聞いたり、友だちの気持ちを考えた上で、自分がどう考えるのかを伝えるという、かなり複雑な会話ができるようになってきた。保育者は口出さずにそっと見守り、ちょっと噛み合わない場面でさりげなく手を差し伸べていこう。子どもたちの成長を嬉しく感じた散歩だった。

 もう一つのグループは内裏谷戸公園へと出かけた。

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