遊びは広がる

 慌てて長袖を引っ張り出すほど…戸外の空気に秋を感じるようになった。秋は戸外遊びが充実する。
 以前、保育者が探し物をしている時にたまたま見つけた、すずらんテープで編まれた「しっぽ」。それを使ったしっぽ取り遊びが、子どもたちの間でじわじわと広がりを見せている。

 夕方の園庭遊びの際に「先生、しっぽやろう!」と誘われることが多かったのだが、日中も「しっぽ」を出してみると、気が付いた子が「それ、やる!」と言って走り出す。その姿に仲間が加わり、また走り出す。そんな風にして、保育者も一緒に楽しんでいた。
 もちろん、いつも全員というわけではないのだが、今日は、この遊びをより多くの子と味わえたら…と、朝の会でみんなにしっぽを見せてから、外へ出た。

 いつもは虫取りに夢中な子も、しっぽを付けて駆け回っている姿を見ると、やはり、新たな事物と出会う「きっかけ」の大切さを感じた。

 しっぽ取りには、何とも言えないスリルがある。誰のしっぽを取ろうかと思案している間に、自分のしっぽは取られてしまう。
 しっぽをお尻に付けた瞬間、それは自分の身体の一部になったような錯覚に陥る。だから、それを取られると想像以上の喪失感で、この年齢の子どもたちに、涙はつきものなのだが、遊びを繰り返すうちに、取られても取り返せるという面白さや、仲間と駆け回る楽しさの方が勝っていく。

 しっぽを取られて泣き出した子の横で「先生も取られちゃったよー。でも取り返すぞー!」と駆け出すと、涙を止めて駆け出す子がいた。髪の毛の横から垂らし、「エルサなの。」と言う子がいた。「僕のしっぽ、勝ったらあげます。」と、じゃんけんの勝負を仕掛ける子がいた。
 気持ちの切り替え、見立て遊び、遊びの発展…同じ遊びでも、経験していることは十人十色。

 駆け回ることに満足した子どもたちは、次は「投げる」ことに汗を流し、笑顔をこぼした。
 子どもたちから本気で逃げ回った保育者に、秋の風が心地よく感じた。

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