おいしいカブ

 先日の誕生会で「大きなカブ」のお話を知ってから、戸外で植物の蔓を見つけると、「うんとこしょ、どっこいしょ」とお話の世界を再現して遊ぶようになった。

 そこで、白と緑のカラービニール袋を使って大きなカブを作り、子どもたちに見せると、「大きなカブだ」「うんとこしょする」と早速お話とつなげて遊び始めた。

 カブの葉を持ち、力強く引っ張る。カブを抑える保育者は子どものパワーに負けまいと必死だ。「抜けないね、誰か呼んできたら?」という保育者の提案に、友だちを呼びにいく。

 「ニャーニャー」「ワンワン」と四つ這いになって、猫や犬になり切ってカブを引っ張っている。絵本には登場しないウルトラマンになる子までいて、子どもたちの想像力はどんどん広がっていく。

 簡単にカブは抜かせないぞ、と頑張っていた保育者だったが、 ビニール製のカブは子どもたちのパワーで破れそうになってきた。保育者が手を離すと、カブは子どもたちの方へと転がり、「わーいわーい」と絵本そっくりに大喜び。

 「美味しそうなカブだね、食べたいな」という保育者の言葉を聞きつけて、一人がままごとの包丁を持ってきた。しかも、1本ではなく4本の包丁だ。「はい、はい」と友だちや保育者に手早く配り、みんなで一緒にカブを切ることになった。

 大きなカブを小さな包丁で切りながら「大きいねぇ」「お料理しようね」「小さくするよ」と思いや考えを伝え合う。ままごとコーナーへとカブを運び入れ、包丁で切ったカブ(実際は切れていないので、カットした目に見えないカブ)を大事そうに、丸くした両手で掬うようにして鍋まで運ぶ。

 そこから先は見えないカブで料理が始まる。コンロの火にかけ、混ぜたり掬ったり。お皿を並べてパーティーの用意を始める子もいる。

 一人の子が「カブがあるよ、あった、あった」と興奮している。見ると、ちょうど昨日、編み物サークルの方からいただいた大根の編みぐるみを、カブに見立てていた。確かに少し丸い大根はカブに見えなくもない。

 ままごとの台所では「カブのホットケーキ」「カブのスープ」「カブのラーメン」などなど様々な料理が出来上がった。

  一つのお話を楽しむことは、同じストーリーを友だちと共有して遊ぶことにつながる。絵本の世界を楽しみながら、友だちとのごっこ遊びが広がっていく。

前の記事

自身への期待

次の記事

雨降りの日は