みかんとバナナを混ぜる

 一斉に保育者を見つめる子どもたち。今日は絵の具やシール、お絵かきをして遊ぶので、それについて保育者が話しているのだが、今までは、個々にその場その場で使い方を伝えていたのだが、最近はみんなで話が聞けるようになってきた。「これからこんなことをする」「道具はこう使う」と、まだ目には見えない、この先ことついても、想像しながら聞くことができるようになってきたのだ。

 「今日は障子紙に絵の具でお絵かきをします。筆でゴシゴシやると穴が空いちゃうよ」と保育者が障子紙の切れ端でやって見せると、それを頷きながら観察している。

 絵の具遊びも回数を重ねるうちに、筆の使い方が上手くなってきた。絵の具をたっぷりと含ませ、スゥーッっと線を描く。長細い障子紙は、蛇のように曲がりくねった線や丸い形などで埋め尽くされていく。秋色の葉っぱにしようと思い、色はオレンジ、黄色、赤の3色だ。自然と3色が混ざり合い、なんとも言えない色合いを作り出す。

 「綺麗だね」と言葉を交わし合いながら、友だちの描いた線に自分の線を重ね、「混ざったよ」と色の変化を知らせる。保育者の言葉を思い出したのか「やさしく、やさしく」と呪文のように唱えながら描く子もいて、そうやって描く線は、とても優しい線になるから不思議だ。

 両手に筆を持つ子、片手に3本握りしめる子もいる。自分の動かした筆でどんな線が生まれるのかを知りたくて、筆先を一心に見つめている。

 障子紙はあっという間に色で溢れ、今度はその上に色を塗り重ねていく。一人がオレンジ絵の具の入ったコップを傾け、障子紙に絵の具をわざとこぼした。「ジュースを混ぜよう」とこぼした絵の具を筆で優しく混ぜている。絶妙な力加減なので、障子紙は破けることなく、色だけが混ざり合う。「みかんとバナナを混ぜる」という呟きに、「ミックスジュースだね」と保育者が言葉を添えると、オレンジと黄色がマーブル模様になった障子紙を満足そうに見つめていた。

 筆を指で叩くように弾き、花火のように絵の具を散らす子もいる。そんな技法を教えたわけでもないのに、遊びながら新しい描き方を発見していくのだった。

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