アリを追跡

 「せんせー、アリさがそう!」と保育者を誘う声。子どもたちは、すでにしゃがみこんで地面を見つめている。

 「いいよ、探しに行こう」と砂場の裏に行き、子どもたちと一緒にアリを探していると、地面に小さな穴を発見!「アリさんのお家かな?」としばらく穴を見つめている。すると、穴の中から大きなアリが一匹出てきた!「うわー!きたよ!」「アリさんだよ」と大喜びの子どもたち。出てきたアリの後を追いかけ始めた。

 園外の散歩では子どもたちがそれぞれに興味を持つものが違うことや、子どもたちの安全の見守りなどがあるため、特定の子どもが興味を持ったものに、じっくりと時間をかけて関わっていくことが難しい。

 大人が関わることで子ども同士が繋がり、面白い発見を大人と共有することで「もっと」という気持ちが膨らんでいく。こうして持続して探求していくのだ。

 今日は園庭でのアリ探しなので、とことん付き合おうと決めた。子どもたちと一緒に地面に顔を近づけてアリを追いかける。「アリさん、どうして急いでいるの?」「葉っぱの中に入っちゃう。かくれんぼかな?」などなど、子どもたちなりの疑問や想像を言葉にしている。

 確かに、アリはいつも忙しく動いている。大人が当たり前と思っていることを子どもたちは新鮮に受け止めているのだ。子どもたちとアリを観察していると、いつもは気に留めないアリがなんだか愛おしく思えてくるから不思議だ。

 アリの動きに合わせて体を捻らせながら、いつまでもアリを追いかける子どもたちだったが、アリの不規則な動きを追ううちに、よろめいて後ろに一歩下がった足でアリを踏んでしまった。

 「アリさん動かないね」「つぶれちゃった」「しんじゃったの?」とそれぞれの思いを口にする。「そうね。せっかくここまで追いかけてきたけれどね。」「みんなの方が大きいから、踏んだらつぶれちゃうね。今度は気をつけようね」と話すと、残念そうに「アリさん、バイバイ」と手を振る子どもたちであった。

 一つの遊びの中で、アリを追いかけるワクワク感を感じ、アリの動きの不思議を感じ、アリを踏んでしまった時の気持ちを知り、様々な感情を動かしていく様子を感じる保育者だった。こんな風に一つの遊びにじっくりと取り組んでいきたいと思う。

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