大切に触れる

 ゴールデンウィーク前のこの時期、荒れ果てた畑を前に、今年はどうしようかとやや途方に暮れ気味な保育者。子どもたちに相談をすると、「植えたい!」「キュウリを食べたい!」と、心軽やかな、意欲的な声が聞こえた。

 ならば、畑を整えるべし。たくさんの雑草を前に、気が萎えそうになるが、重い腰をあげ、子どもたちに誘いかけながら作業を始めると、「根っこから取るんだよね。」「虫が出てこないかな?」と、子どもたちも共に作業し始める。雑草を抜き、土を耕し、根っこを取る。なかなか先が見えず、だんだんと疲れが見られてきた頃、

 子どもたち「ねえ、疲れてきた。もうやめてもいい?」

 保育者「ということは、この畑に野菜を植えるということか…。ここで野菜が元気に育つかな?」

 子どもたち「…。やっぱり、ここの根っこだけとっておく。」「もう少しやる。」

 植物を育てるというのは、ただ水をあげるだけではない。元気に育つための大きな下準備がある。そこも一緒に学んで欲しいと思う保育者であった。

 例年なら、子どもたちと一緒に苗を買いに行くのだが、ここ数年はコロナ禍ということもあり、保育者が購入してくることが続いていた。今年も保育者が苗を購入した。そして、今日は絶好の苗植え日和。朝の時間、園庭の真ん中にベンチを置き、そこに苗を並べていると、子どもたちが興味を持って集まってきた。

 子どもたち「うわぁ、野菜の苗だ!」「ここに『キュウリ』って書いてある!」「これはナスだと思う!だって、葉っぱがちょっと紫だもん!」「メロンもあるよ!」

 あっという間に苗の周りは人だかりになった。そして、次々に苗に手が伸びる。保育者は「あっ、そっと触らないと…」と思わず声が出そうになったが、その必要はなかった。子どもたちは、苗を優しく、丁寧に扱っていた。苗の葉や茎には触れず、下のポットを両手でそっと持ち上げている。

 大人が何も言わなくても、子ども自身で、これはどういう存在で、どう扱えばいいか感じ、行動に移しているのだろう。子どもって、我々の想像以上に考えている。感じている。大人が普段、良かれと思って伝えていることも、子どもからしたら、「わかっているよ!」ということも多いのかもしれない。

 苗植えは無事に完了。十分なくらい、水遣りも終えた。

 そして、植物との共存はここからが本番。畑の土作りと同様、多くの世話が必要なことを、子どもと共に、大人もどこまで学び、取り組むことができるか。

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