話を聞く意味

 今日は、こいち先生と一緒に造形活動を行なった。

 前半はあおぞら、後半がとり、と2グループに分かれたのだが、取り掛かる前に、こいち先生がそれぞれに行ったことがある。それは「説明」だ。もちろん私たち保育者も、今までにも話してきたことでもあるのだが、今日のこいち先生の説明からは、ことさら、強い思いを感じた。

 「みんな、絵の具を先に取りに来たでしょ?でも、絵の具を取っても、座る場所が決まっていないと、どこに座ればいいかわからなくて、困っちゃうでしょ?まずは、自分が座る椅子を決めるのが一番。絵の具は逃げないから、焦らなくてもいいからね。」

 こいち先生が話している最中、絵の具遊びが楽しみで、隣の子どもに声を掛けたり、筆洗いを触ったり、注意が逸れる子どももいる。するとこいち先生は、話をやめ、

 「今、こいっちゃん、すごく大切な話をしているよ。みんなが気持ちよく、のびのび自分の好きな絵を描くためには守って欲しいことがあるんだ。しっかり聞いてもらいたいな。」

 早く絵の具遊びに取り掛かりたくて、ソワソワしていた子どもたちも、「すごく大切な話」という言葉を聞いて、最後まで耳を傾けていた。

 絵の具を混ぜる時は、絵皿ではなく、画用紙の上で混ぜた方が綺麗に色が混ざること、筆を短く持って肘か手の付け根をしっかり机につけると細い線が描けること、絵の具は使う分だけ絵皿にとらないともったいないこと、絵の具をつけて何度も線をなぞると画用紙に穴が開いてしまうことなど、たくさんのことを、こいち先生の話から知った子どもたち。

 子ども「洗った筆は、こっち(筆先)を上にして立てないと、筆が曲がっちゃうって、こいっちゃんが言ってたぞ。」

 子ども「先生、見て!こいっちゃんに教わった通りにやったら、こんなに綺麗な細い線が描けちゃった。」

 ただ、「こうしなさい。」ではなく、その理由や意味を知ることって、本当に大切だ。つい、思う存分好きなようにやってごらんと声を掛けてしまいたくなるが、みんなが自由にのびのびと自分の力を発揮するためには、知っておくべき手順や方法がある。きっとその先にはもっと楽しい造形の世界が待っているはず。そのことを、子どもに伝えることの大切さ。子どもが実感できる大切さ。今日の造形活動を通して、私が実感した。

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