蝶との出会い
園を出て、いつもの道を行く。虫に強い関心を持っているはなぐみの子どもたち。今日も地面や草の間を目で追いながら歩く。どこに虫が潜んでいるのかわかっているのだ。経験したことをしっかりと自分のものにしている。
早速、アリを見つけた。「アリがいるよ」と友だちに伝える子もいて、みんながアリを見ようと集まってきた。小さなアリが、自分と変わらない大きさの餌を運んでいる様子に釘付けになる子どもたち。しゃがんでアリに顔を近づけて観察している。
そんな子どもたちの様子を見て、今日は虫や花を好きなだけ観察しながら、時間のある限りのんびりと散歩しようと決めた。保育者も子どもたちが喜ぶような発見をしたいと思うあまり、道端の草むらを覗き込み、腰をかがめて歩いてしまう。




保育者が下ばかり探して歩いていると、「あっ、ちょうちょ!」という声が聞こえた。顔を上げると目の前に大きなクロアゲハが飛んでいる。「本当だ、黒いちょうちょ、見つけたね」と子どもたちに伝え、一緒にその行方を見守っていると、クロアゲハは目の前の赤いつつじにとまった。
クロアゲハをみる子どもたちの表情は笑顔ではなく、真剣な目をしている。大きな蝶だからか、それとも黒い色のせいなのか、少しだけ恐怖心もあるようだ。声も出さずに蝶の動きを見守る子どもたち。蝶はひらひらと飛んでいくが、またすぐに戻ってきて花にとまる。
そんな蝶の様子を見て、保育者が「特別においしい蜜の花があるのかな」とつぶやくと子どもの目線は一気に周囲の花々へと移る。そんな子どもたちに、この花だよ、と知らせるように、クロアゲハはつつじにとまった。「おいしいのかな」「赤いお花」と子どもたちから声が漏れる。
蝶を観察することで、蝶が蜜を吸うことや花に蜜があることなどを知っていく。保育者のつぶやきを子どもたちは逃さずに、しっかりと捉えているのだ。保育者の言葉を聞いた後の子どもの目線や言葉に、そのことを教えられた。



うずまき公園でも、ルリシジミやアカタテハなど、様々な蝶に出会った。うずまき公園にはうずまき状に溝があるので、転びはしないかと保育者はハラハラするが、子どもたちは器用に溝を飛び越えながら蝶を追いかけていた。
何度か帽子で捕まえることができたのだが、嬉しさから気がはやり、すぐに帽子を開けてしまうので、蝶は素早く飛んで行ってしまう。その度に、「あー、いない」と残念そうにしている。蝶のように空を舞う、思い通りにならない虫たちとの遊びも、子どもにとっては感情を揺さぶられる経験になっているだろうと思った。
今日の蝶との出会いをきっかけに、アリやダンゴムシ以外の虫たちについても図鑑などを使って知っていきたいと思う。
園庭で遊んだ子どもたちは、恐竜になって追いかけっこをしたり、砂遊びをしたりと、好きな遊びを選んでいた。



