選択のある生活

 うみぐみでは、進級してから一層、排泄に対する自己選択を尊重してきた。それは、子どもたちが自分の感覚に合わせて、自らトイレに向かうことが出来てきているからだ。
 保育者がトイレに誘っても、子どもたちが「出ない!」と言った時には本当に出ないということが、以前よりもさらに増えている。

 でも、ここ最近、あと一歩という所で漏れたり、パンツにほんの少量漏れる、という姿がちらほら見受けられる。それは大抵、子どもたちが目の前のことに夢中になっていた時だ。

 この色とこの色を混ぜたらどんな色になるだろう…そんなことを試している時は、トイレに行っている場合ではない。給食が美味しそうだ!…と思った時は、少しでも早く配膳台の前に行きたい。皆のいる午睡の部屋に、自分も早く行こうっと♪…と思った時には、うがいをして満足し、トイレに立ち寄る気持ちが薄れるのかもしれない。

 おもらしをする前に、子どもたちが目の前のことに夢中になっていた姿を思い起こすと、この年齢のおもらしを微笑ましくすら感じる自分がいる。

 それでも、排泄に対して、子どもたちへ伝えたいことはまだまだある。
 今日は朝の集まりの時、『トイレのおばけちゃん』という紙芝居を読んだ。

 紙芝居の内容に沿って、トイレは怖い所ではないことや、「うんちも出せるとすっきりするよね」などと話した。それから、トイレットペーパーを出し過ぎたおばけちゃんのページを読み、「ペーパーはどれくらいの長さが良いのだろう…」と、子どもたちに尋ねてみた。

 保育者の声色から、「きっと先生は、短い方が良いのだろう…」と感じ取った子の中には2㎝くらいの幅を作る子もいたが、彩奈ちゃんが肩幅くらいの長さが良いのではと、提示してくれた。

 保育者自身、排泄の時々の状況で、ペーパーの適した長さは変わると思っている。でも、「そうだね、それくらいなら、お尻も拭けるし、ペーパーもすぐになくならないね!」と伝えると、他の子どもたちも自分の肩幅を探りながら『これくらい』を探っていた。
 自分で考え、調整するという経験を、トイレの中でも積んでいくのだろう。

 紙芝居の後は、雨が降っていたので室内で過ごした。それでも、身体を動かすことが好きな子どもたちは、大きな窓が開くとテラスへ出て行った。

 すると、子どもたちの目には、名倉先生が設定している絵の具コーナーが、自然に目に入る。そして、何か面白いことがあるのかもしれない…と感じた子は、自然と絵筆を手に取る。
 『絵の具のある生活』が、自然とうみぐみの中にも流れてきた瞬間を見たように思った。

 保育室では、保育者が密かに紙粘土を出し、空いた缶ケースに貼り付けていった。その姿に気が付いた旺來くんが、「何やってるの?旺ちゃんもやりたい」と言って、2人でスタート。そこから、少しずつ吸い寄せられるように、紙粘土のケーキ作りが子どもたちに広がっていった。

 この紙粘土ケーキは、クラスの誕生会の際に使用したいと思っている。子どもたちの誕生日を祝う時に使うものを子どもたち自身で作れたら、さらに特別なお祝いの時間になりそうだ。

 保育者は、子どもたちがケーキの飾りに使うだろうと思い、型抜きを用意した。予想通り、型を抜いた粘土を付ける子が多かったが、大鳳くんはケーキの土台の粘土に型抜きを押し当て、模様を付けることを面白がっていた。
 冬華ちゃんは黙々と、ケーキの側面にだけ、細いストローを差し込んでいく。
 叶芽くんは、「地球グミ♪」と言って、ケーキの飾り付けでなく紙粘土そのものと触れ合っていたが、最後の最後に『地球グミ』をケーキに貼り付けていた。そして指をさし、保育者に写真を撮るよう催促した。

 どのタイミングで、何を選び、何と出会い、どう関わるか…生活の中には、選択が多い。

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