鬼がやりたい

 今日はあいにくの雨なので、活動に制限がかかる。どうしようか悩んだ末、私が決めるよりも、子どもたちに聞いた方が早いと考えた。子どもから発案が『やりたい遊び、知っている遊び』だと考えたからだ。

 朝の会で、みんなに何をしたいか尋ねてみた。新聞紙遊びという意見も出たが、今回は、あおぐみというクラスのメンバーみんなで一体感や協調性を感じられる『ゲーム』に絞ることにした。

 いす取りゲーム、だるまさんがころんだ、爆弾ゲームなどを提案した子に、ルールの説明もお願いした。どの子も、自分の持てる語彙を精一杯使って、どうにか伝えようと奮闘する姿に感心した。

 ゲームの内容を知った上で、どのゲームがやりたいか尋ねると、信号ゲームが選ばれた。この時、私は内心焦っていた。なぜならこのゲームを全く知らないからだ。提案者の芽衣ちゃんは「赤は止まれで、青は1歩進んで、黄色は1歩下がる。それ以外の色を言ったら鬼は追いかけ、他の子は逃げる。」と教えてくれた。どうやら「だるまさんが転んだ」に似た遊びのようだ。

 半ば想像をしながら、保育者2人でデモンストレーションを披露し、ルールが合っているのかを芽衣ちゃんに確認をした。保育者が動くことで、子どもたちの視線も集まり、何が始まるのかという期待感が高まる。言葉よりも、目で確認する方が子どもたちも大人も理解しやすい。

 このゲームは鬼の指示により、みんなで前や後ろに進み、鬼が赤黄青以外の色を言うと同時に、鬼はみんなを追いかける。つまり、鬼は、みんなをなるべく近くまで引き寄せ、その瞬間、別の色を叫べば、すぐにタッチができるのだ。

 一方、みんなは、なるべく鬼に近付かないように距離をとれば捕まりにくくなる。私はそう理解をしてゲームを始めたのだが、ゲームを進めていくうちにあることに気がついた。「あお!」と言われた時は、大きくジャンプをするように前進するのだが、「きいろ!」と言われた時の後退の1歩は、かなり小さい。後方へ大きくジャンプするのは、やはり難しいのかなと思いながら、さらにゲームを進める。

 やはり「きいろ」の時の1歩は小さく、「あお」と言われた時は待ってましたとばかり、嬉しそうに大きく1歩前へ飛び出している。私はハッとした。

 みんな鬼がやりたいのだ。

 鬼ごっこでは、いつも懸命に逃げ回っているのだが、このゲームでは早く鬼をやりたくてしょうがない様子。その思いは鬼役からも感じられた。『あか・あお・きいろ』以外の色を、なかなか発しない。

 「あお」と言って鬼に十分引き寄せた時に、私が「今違う色を言えばタッチできるよ!」と囁いてみるのだが、ずっと鬼役を続けたいようなのだ。鬼にタッチされないように逃げ回るのが、この遊びの醍醐味の一つでもあると思うのだが、あえてその場を動かず、タッチされることを待つ子もいた。

 みんなが鬼役をやりたいと思うのは、自分が色を選べることが嬉しいのか、はたまた、みんなを指示通りに動かせるリーダー役を担えるからなのか。その理由を尋ねてみても、ただ「だって楽しいから。」とのこと。

 それでも、子どもたちで決めた今回のゲーム。意欲的に参加し、楽しんでいる姿が印象的だった。

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